アマゾン ウェブ サービス(AWS)が6月に開催したAWS Summit Japanにおいて、2024 Japan AWS Top Engineersの受賞者が発表され、NRIからは14名が選出されました。今後複数回に渡って、atlax編集部 中の人が新たに選出された若手エンジニアにインタビューしていきます。
今回ご紹介するのは、Servicesカテゴリーで自身初のJapan AWS Top Engineersを受賞した、宇都宮海斗です。社外のハッカソン(短期間でシステムやアプリケーションを開発しその成果やアイディアを競うイベント)に入社1年目から参加し優勝するなど、社外でのさまざまな活動を通して技術力とコミュニケーション力を磨いてきたエンジニアです。2024 Japan AWS Top Engineers選出に至るまでの活動や、エンジニアとして大切にしていることについて、突撃インタビューしてきました!
Q1:2024 Japan AWS Top Engineers 選出おめでとうございます!これまでのキャリア、現在のご担当業務やAWSとの出会いを教えてください。
私は2020年のNRI入社と同時に、グループ企業として設立して間もないNRIデジタルに出向しました。現在はNRI所属に戻っています。
通信業界の案件でAWSとアジャイルの開発スキームの導入、FTS(Follow-the-Sun)という24時間365日体制でのアプリケーション開発システムの導入などを担当してきました。直近では、交通業界のお客様のMaaS(Mobility as a Service)の新規事業の立ち上げとプラットフォームの開発の案件に、NRIのコンサルタントとNRIデジタルのメンバー合同の体制で参画し、企画から提案、開発までを一貫しておこなっています。
AWSには、入社初年度のNRIの新入社員研修やNRIデジタルでの個別の新人研修で初めて触れ、1年目でNRIハッカソンに出場した際には、AWSやGoogle Cloudなどのパブリッククラウドを使って開発もしました。業務としては、NRIデジタルのCCoE活動の一環としてAWS に関するブログを書く機会があり、AWSに本格的に関わりはじめました。
Q2:AWS Top Engineersに応募された経緯をお聞かせください。
私は、NRIの若手社員の有志団体「Arumon」に所属しています。メンバーの中にはAWS Top EngineersやAWS Ambassadorsに選出された方もいるので、これらの認定プログラム自体は身近な存在でした。
今年の3月にAWSの資格更新のテストを受けた際、AWS Top Engineersの応募条件に関するウェブページを目にしたのが応募のきっかけです。見つけたのは3月末日だったのですが、募集期限が1週間延びて4月5日になったという記事を読み、こうして目に留まったのも何かの縁かなと思いその場でエントリーしました。
受賞してからは社内外の知り合いから祝っていただく場ももちろんありましたし、イベントなどに参加すると、初対面の方にもAWS Top Engineersとして声をかけられたり会話したりする機会が増え、人脈が広がっていくのを感じています。
Q3:どのような活動が今回の選出に繋がったと感じていますか?
AWSが公表している評価項目でいうと、「案件対応」と「技術リードとしての活動」の2点で評価されたと思います。特に、先述した通信業界の案件は、エンタープライズ領域でAWSを使うという珍しい事例でもあったので、数年かけてAWS・お客様・NRIの3社で協業しており、2023年には、ラスベガスで開催されたAWS re:Invent 2023にいらっしゃったお客様から、現地で行われていたワークショップに近いものをやりたいというお声があったので、AWSと相談してお客様の内部向けにワークショップを実施しました。
また、開発したシステムも評価いただきました。以前携わった案件のお客様が昨年のAWS Summitに登壇し、一緒に築き上げてきたAWS上のシステムやアジャイルでの開発スキームに関して事例セッションにて発表をされていて、外部からの評判もかなり良かったと聞いています。その後も複数の新規システム開発や、事例がまだあまりない中で生成AIを組み込んだ開発等を企画し案件化するなど、継続して案件を対応させていただいています。
これらの案件を通じた私の活動がAWS側にも伝わりやすく、継続的に評価されてきたというのが、結果として受賞に繋がったのだと思います。
Q4:IT技術が進化し続ける中で新しい技術やスキルを身につけるために努力していることは何ですか?
業務での案件対応以外でも、実際に手を動かして新しい技術やサービスを使ってみて学ぶことが多いですね。
新技術を使って開発してみて、予算や技術、開発のボリュームなどを考慮したうえで案件でも使えると判断できれば、私が責任を取れる範囲内で実際の案件で採用することもあります。結果的に、業務外で学んだ技術を案件に活かし、業務として開発を進めることで更にスキルを磨ける環境ができています。これはお客様との信頼関係があってこそできることです。
また、入社して最初の約3年間は社内外のハッカソンやビジネスコンペによく出場していて、そういったイベントも新技術を学ぶ機会として活用してきました。私は文系学部出身で入社当時は情報技術についてわからないことも多かったですが、ネットワークやサーバ、データベースといったインフラ領域からクラウド領域、アプリケーション構築についても、ハッカソン出場を通してスキルを磨くことができました。これら社外での活動が、結果的には、業務においてもクラウド領域をけん引していくことに繋がりました。
技術以外にもハッカソンで学んだこととして、チーム体制の構築や運営が挙げられます。
何度か優勝もしましたが、チームの技術スキルが突出していたのかというと特段そういうわけでもありません。ハッカソンでは、出題されるテーマに沿ったシステムやアプリケーションを開発するだけではなく、最終的にその内容をプレゼンして審査されます。私たちのチームでは開発面だけではなく、プレゼンの質を重視してメンバーを構成していました。エンジニアのみではなく、パワーポイントの資料作成やプレゼンでの提案に秀でた人やデザイナーをチームに入れたりしていたので、コンテストとしてはアウトプットの側面でも高く評価されたのだろうと思います。「こうする方が審査員から見て評価しやすいだろう」という感覚は、イベントの中で掴んできたのかもしれません。
Q5:現在のやりがい、ご自身がエンジニアとして大切にしていることなどもお聞かせください。
エンジニアとして大切にしていることは、常に顧客体験を優先するということです。
「顧客」「お客様」といっても対象は時と場合により変わりますが、生成AIのような新技術が次から次へと出てきても、技術先行で物事を考えていくのではなく、顧客体験を大切にしていきたいという思いがあります。生成AIやブロックチェーンといった最新の技術を取り入れた案件も引き合いは多くありますが、技術力があるからといって技術をベースに企画し開発を進めるのではなく、本質的に求められている顧客体験はなにかを最優先に考え、技術はそれらを支えるものというのが私の考えです。この方針を自身の原動力として見失わず、価値としても提供していきたいなと思っています。
そうした思いを持って活動していく中でお客様にNRIや私個人を求めていただける場が増えてきました。私自身が目指している姿でもあるので、とても嬉しく思います。
Q6:今後、NRIのエンジニアとして実現したい夢や目標はありますか?
個人としては、最新技術を常に追いかけていきたいです。そのためには柔軟性が必要だと思うので、偏見を持たずに継続してスキルを磨いていきたいと思っています。
NRIの従業員は情報やスキルのインプット、案件や対外発表の場でのアウトプット、共に質の高い人が多いと感じています。NRI全体のオープンイノベーションがより活発になれば、提供できる価値は更に飛躍していくだろうと思います。それを実現するのがNRI社員としての私の夢です。
Q7:atlaxブログの読者やNRIのお客様にメッセージがあれば、最後にお願いします。
NRIはお客様の潜在課題を発見し、実践的な解決策を導き出すコンサルティング力と、最適なシステムを提案し、構築・運営するソリューション力、何よりそれをやりきる熱意があります。ぜひビジネスパートナーとしてお客様のビジネスのお手伝いをさせていただければと思います。
取材を終えて
開発のための知識とスキルを身に着けることはエンジニアとして大切なことですが、開発したものを人に発表したりお客様が求めているものを汲み取り提供したりする、対人的なコミュニケーション能力も同様に重要なものであり、宇都宮の場合は技術イベントにおいてこれらの能力を総合的に磨いてきたことがわかりました。技術ばかりを追い求めるのではなくその先にいる人を常に意識し活動する姿勢が印象的で、エンジニアであると同時にお客様にサービスを提供するビジネスパーソンとしての信念を感じました。
今後のインタビューにも、各々の信念を持って活動するNRIのエンジニアたちが登場しますので、それぞれの抱く思いに注目していただければと思います。
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