
こんにちは、atlax編集部 中の人です。
atlaxブログでは、アマゾン ウェブ サービス(AWS)の2025 Japan AWS Top Engineersに選出されたNRIのエンジニアたちに、atlax編集部 中の人がインタビューするシリーズを掲載しています。
第一弾はこちら:2025 AWS Top Engineers 受賞者 (1) AI/ML Data Engineer
第二弾はこちら:2025 Japan AWS Top Engineers 受賞者 (2) Services

第三弾となる今回はNetworkingカテゴリーで選出された池田 浩明にインタビューを行いました。
ブログでは、複数の解決策から最適解を探り続ける柔軟な思考や勉強会の開催など人材育成に積極的に取り組む様子、さらに今後の展望についてもご紹介します。
エンジニアの方だけでなく、クラウド技術に興味をお持ちのビジネスパーソンの皆さまにもぜひお読みいただきたい内容となっています。
Q1:2025 Japan AWS Top Engineers 選出おめでとうございます!これまでのキャリア、現在のご担当業務やAWSとの出会いを教えてください。
ありがとうございます。私は入社以来、金融機関向けネットワークの設計・構築・運用を担当してきました。現在も業務の軸は金融機関向けネットワークであり、AWS、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)、Microsoft Azure など複数のパブリッククラウドやオンプレミス環境のネットワーク管理を行っています。
AWSを本格的に利用し始めたのは2019年頃で、金融系のシステムをAWSで構築するというプロジェクトでした。当時はAWSのエンタープライズ導入が増えつつありましたが、私はオンプレミス環境での経験が多かったため、最初はクラウドへの苦手意識や不安がありました。
担当したシステムは複数のVPCを接続する構成で、拡張性や運用性を重視した設計を行い、2018年にリリースされたばかりのAWS Transit Gatewayを採用しました。当時はTransit-Gatewayのベストプラクティスがまだなく、AWSの知見も少なかったため、試行錯誤しつつ設計を進めました。その中でAWSのサポートは非常に心強く、設計に関するアドバイスや不具合対応を迅速に受けられたため、大きなトラブルなく構築を完了させることができました。
その後、AWSの設計思想を理解し、複数のシステムの構築を進めるにつれてAWSに対しての苦手意識はなくなり、現在も同じシステムを担当しています。
Q2:どのような活動が今回の選出に繋がったと感じていますか?
今回の選出につながった主な活動は、案件対応、継続的なシステムの改善、人材育成などの通常の業務による活動だと思っています。大規模なシステム構築といった特筆すべき実績はありませんでしたが、日々の業務でお客様やAWSへの貢献、後進の育成を意識した活動をしてきました。
例えば、マルチリージョンで構築済みのシステムにおいて、切り替わりが発生した際に、トラフィックが流入してからリソースのスケールをするのではなく、切り替わりのメトリクスを利用することで早くスケールできないかといったことを考え、実際に設定を検証しました。検証の結果、AWSの制約によって上記の実現はできませんでしたが、追加のコストは無くサービスの質が上がる仕組みであったため、背景を説明してAWSに機能改善要望を提出しました。
実際の運用を意識することに重点をおいて、サービス品質を向上する策を検討し、他のエンジニアやAWSにフィードバックすることで、サービス改善に貢献できたのではと考えます。
また、若手メンバー向けに、AWSやネットワークの勉強会を実施したり、AWS JamやAWS Gamedayの参加などを通してコミュニケーションを図ったり、先輩社員やAWSとの接点を広げる育成活動などに取り組んだことが評価いただけたのではないかと思っています。

Q3:現在のやりがい、ご自身がエンジニアとして大切にしていることなどもお聞かせください。
現在のやりがいは、システム構築の過程で発生する課題を解決することにあります。技術的な問題に直面した際、他の有識者と議論を重ねて最適解を導き出すプロセスに楽しみを感じます。チームで技術領域を共有しながら最適な解決策を探ることが、エンジニアとしての醍醐味だと思います。
エンジニアとして大切にしていることは、お客様の要求や課題に柔軟に対応できるように複数の解決策を常に意識することです。
最近、AWS Certified Advance Networkingの資格を更新しました。この資格試験では、回答の選択肢がすべて技術的に実現可能である中で、要件に対して「最も適切な」解を選ぶ問題が多く出題されます。
実務においても、お客様の要件を実現する構成について最適な構成を考えてシステムを構築しますが、その際に最適と判断した構成以外の案についても特徴を把握しておくようにしています。そうすることで、要件が変わった時や新規にご相談を受けた際に、迅速かつ適切な提案を行い、お客様のビジネスに貢献できると考えています。
Q4:これまでの知見を活かして、どのようにお客様のビジネスの課題解決を支援していきたいですか?
これまで金融機関向けのネットワークを担当し、品質を重視したシステム設計と運用に取り組んできました。この品質へのこだわりとAWSに関する知見を活かして、お客様のビジネス課題に対し、品質の確保とコスト削減の両立を実現したいと考えています。
従来、品質向上とコスト増加はトレードオフの関係にあるとされてきましたが、高い品質を追及することで結果的にコスト効率が改善する場合も多くあります。
AWSでは毎月多くのサービスアップデートがあり、特定の利用用途において、コスト効率を向上させる新機能の提供も数多くあります。新しい技術の導入には信頼性の懸念が伴いますが、お客様のビジネスにとって有益と判断した場合には、品質を確保するための具体的なアプローチを提示し、納得いただける提案を行いたいと考えています。
このように、品質を軸に技術的知見を活用し、お客様のビジネス課題の解決と成長に貢献していきたいと思います。

Q5:今後、エンジニアとして実現したい夢や目標はありますか?
私の専門分野はネットワークとセキュリティであり、今後もこれらのスキルを深化させ、自身の設計の実績を積極的に発表していくことが目標です。
近年、パブリッククラウドの普及により、簡易的な設定でネットワークを構築できることから、ネットワークエンジニアの需要が減少していると見られることがあります。しかし実際には、クラウド利用の拡大に伴い、クラウド間でのデータやアプリケーションの共有・移行を可能にする相互運用性が求められるなど、ネットワーク設計はますます複雑化しています。さらに、膨大なトラフィックを効率的かつ安全に処理するためのCDNやDNSの設計、ポスト量子暗号(PQC)への対応など、ネットワークエンジニアが取り組むべき課題は多岐にわたります。これらの技術的課題に挑戦し、ベストプラクティスを自ら発信できるエンジニアを目指しています。
また、最近では若手社員から「AWS Top Engineers」を目指したいという相談や、ネットワーク技術を学びたいという声を聞く機会が増えています。これらの声は私にとって大きな励みであり、若手エンジニアの育成を通じて組織全体の技術力向上に貢献したいと考えています。
Q6:atlaxブログの読者やNRIのお客様にメッセージがあれば、最後にお願いします。
NRIの強みは、一人一人の技術力や課題解決能力が高いメンバーが多く在籍していることに加え、組織間の連携にあると思っています。ご相談いただく社員の担当範囲外の領域でも、社内で適切なメンバーに連絡をとり、オールNRIとしてお客様の課題やチャレンジに取り組んでいきます。
私自身もスキルを磨くだけではなく、人材育成や社内の組織力の強化に携わり、お客様から更なる信頼を得られる組織作りを目指したいと思います。
お困りごとがありましたら、ぜひ身近な担当者にお声がけください。
編集部の感想
インタビューで特に印象に残ったのは、単に技術を追求するだけでなく、お客様の課題をしっかり理解し、その解決に向けて最適な提案や実装を心がけている姿勢です。ひとつの解決策で終わらせず、常に他の可能性も模索しながら最適な判断を下そうとする取り組みは、技術的な深みと柔軟さを併せ持つエンジニアならではの強みだと感じました。
また、人材育成にも熱心に取り組み、若手エンジニアの成長を支えたいという思いが、組織の未来にもつながっていると思います。
今後もお客様のニーズに寄り添いながら、新しい技術を活かして最適解を追求し続ける活躍に、ますます期待しています。
2025 Japan AWS Top Engineers受賞者インタビューシリーズの次回は、Security カテゴリーで選出されたメンバーへのインタビューをお届けします。ぜひ、ご期待ください。
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