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AWS re:Invent 2025初参加を終えて

石川 堅也 - Nomura Research Institute, Ltd.

はじめに

こんにちは、NRIの石川です。
普段の業務では、パブリッククラウド環境へのアクセス統制用ソリューションの維持管理や顧客のデータ分析基盤環境のエンハンス等に携わっており、このなかで約3年間AWSを扱ってきました。
そんな私ですが、先日AWS主催のre:Invent に初めて参加してきました。
本ブログでは、発表内容の詳細やサービスの技術的な内容よりも、現地の状況や初参加ならではの印象を中心にご紹介します。私と近い状況で今後参加を検討している方の参考になれば幸いです。

 

AWS re:Invent 2025について

AWS re:Inventとは、Amazon Web Services(AWS)が年に一度、アメリカ ネバダ州のラスベガスで開催する世界最大級のカンファレンスイベントです。内容は新機能やサービスの発表・パートナー企業による事例紹介・ハンズオンによる学習、コミュニティイベントなど様々です。参加することで最新技術のキャッチアップや、アイデアの獲得、実践スキルの向上、コミュニティの拡大等が期待できます。

 

2025年の開催概要

2025年は12月1日~12月5日に開催されました(Badge pickupは11月30日から可能)。会場はCaesars Forum・Encore・Mandalay Bay・MGM Grand・Venetian・Wynnの6つのホテルであり、ラスベガス市内の複数会場を使用しました。参加予定者数は10月31日時点でおよそ60,000人(うち日本人は1,600人)に上り、セッション数は開催前には2,500ほど予定されていました。加えて、新サービスの発表などを受けてセッションは随時追加され、最終的には3,000セッションを超えていました。会場・予定者数・セッション数すべてから本イベントがどれほどに大きい規模であるかがうかがえます。

 

セッション

主なセッションタイプの概要と開催数は以下の通りです。(複数会場での開催や繰り返し開催されるセッションも別でカウントしているので数値は延べのセッション数となります)

セッションタイプ

概要

セッション数

Breakout Sessions

講義形式のセッションです。新機能の解説や事例紹介などが中心で、セッション後にQ&Aも可能な場合もあります。

887

Chalk Talks

登壇者と参加者の双方向の対話を重視したディスカッション形式のセッションです。特定の技術課題について深く議論したりQ&Aも可能です。

704

Workshops

参加者がいくつかのグループに分かれ、実際に操作をしながらシナリオを通してAWSサービスを体験するハンズオン形式のセッションです。

312

Builders' Sessions

AWSの担当者と共に、特定のトピックについて議論しながら実際に手を動かしてソリューションを構築するセッションです。

274

Gamified learning (GameDay)

参加者でチームを作り、ゲーム形式で課題解決に取り組む実践的なセッションです。与えられたミッションをクリアしながらベストプラクティスを学ぶことができます。

30

Keynote

AWSのCEOや幹部、パートナー企業が登壇し、新サービスや機能、今後のビジョンを発表するセッションでre:Invent最大の見せ場です。

5


AWSに関するソリューション・事例はこちら

 

参加したイベントについて

期間中に参加したセッションやイベントについて、いくつかピックアップしてご紹介します。

 

Opening Keynote with Matt Garman

こちらは、AWSのCEOであるMatt Garman氏によるKeynoteで、AWSの事業成長を示す実績数値の公開から始まり、今後のビジョン、新サービスや機能について発表されました。
内容について

冒頭は以下のような数字をもとに、AWSの驚異的ともいえる成長速度や影響力が述べられました。正直想像するのも難しい規模であり、改めてAWSの存在の大きさを実感する内容となっていました。

  • 年間収益は1,320億ドル(前年比20%増)
  •  S3には500兆個以上のオブジェクトが保存されており、1秒あたり平均2億回以上のリクエストを処理
  • Bedrockは世界中で10万社以上の企業のAI推論を支えている
  • 過去1年間で3.8ギガワット分のデータセンター容量を追加



また、Garman氏は「The Freedom to Keep Invent」をテーマに掲げ、多岐にわたるサービスの発表を行いました。発表された概要としては、AIワークロードを支えるインフラストラクチャのアップデートや基盤モデル「Amazon Nova」ファミリーの発表、AIエージェントと開発者ツールの進化などが紹介されました。大半がAIに関連したものとなっており、当たり前ともいえるかもしれませんが、AIに対して注力していることが改めて感じられました。



また終盤には、10分間でコアサービスに関する25個の新サービスを紹介するという場面もあり、AWSの開発速度およびサービスアップデートの網羅性に圧倒される内容となっていました。

ちなみに

Keynoteはオンライン視聴もできるので、他のセッションを優先するという考え方もあるかと思います。ただ私としては現地のリアクションや熱気を感じたいと考え、現地で参加しました。8時開始予定でしたが、できるだけ良い席を確保したく、5時半から並びに行きました。ただ、会場に着いても6時までは並ぶことも禁止と伝えられ、結局並び始めたのは6時10分ごろでした。また、会場の前方座席はAWS HeroやAWS Ambassadorなどの予約席です。早く並んだからといって前方の席に座れるとは限らないので注意が必要です。
また、Keynoteでは各言語に対応したレシーバーが置かれており、こちらを利用することで対象の言語の同時通訳を聞くことができます。特に英語に自信が無い方はこちらを活用するとよいかもしれません。

 

AWS Security Agent: Proactive AppSec from Design to Deployment

このセッションはBreakout Sessionのひとつで、前述のMatt Garman氏によるKeynoteで発表された新サービスの一つである「Security Agent」の詳細な機能の紹介やその背景にあるプロアクティブセキュリティについて扱われました。
※プロアクティブセキュリティとは、脅威が発生する前に予測および検知をすることで事前に対策を講じるセキュリティアプローチです。

内容について

こちらでは、開発サイクルの最終工程でセキュリティチェックを行う従来のアプローチは、手戻りによる遅延や開発リソースの枯渇を招くと指摘していました。これに対して、生成AI(LLM)を活用することで、設計やコード記述の初期段階から継続的かつ自律的にセキュリティ要件を適用し、開発スピードを損なうことなく安全性を担保する新たなアプローチが紹介されました。文脈的にはこの新しいアプローチにAWS Security Agentが当てはまるものとなります。また、このセキュリティレビューの変化については、夜間の明かりが重要だった「ろうそくの時代」から、いつでも利用できる「電気の時代」へ、と比喩され、セキュリティチェックアプローチの変革の大きさが強調されました。
主要機能はDesign Review・Code Review・Penetration Testingであり、概要は以下の通りです。

  • Design Review:コードを書く前の設計段階のドキュメントから、セキュリティリスクを発見する機能
  • Code Review:プルリクエストのたびにコードを自動スキャンし、設計時の要件が守られているかをチェックする機能
  • Penetration Testing:APIエンドポイントや認証情報を入力するだけで、オンデマンドで好きなタイミングでペネトレーションテストを実行できる機能

※配信URL(https://youtu.be/LPo4kI656bY?si=aAoRPE15Uh2NlJJN

ちなみに

Breakout sessionは、SIMULCASTとして発表者のいる会場とは別の会場で同時配信されることもありました。配信側は事前の予約は不要で、別会場で列に並び、席に余りがあれば聴講することができます。予約はできなかったけどどうしても聞きたい!というセッションがある場合は活用すると良いかもしれません。

 

Expo

Expoはパートナー企業やAWSのブースが立ち並ぶ展示エリアです。ソリューションのデモを見たり、各企業の事例について学ぶことができます。また、担当者とディスカッションすることでより深く理解することができ、同時にコミュニティの拡大も期待できるイベントです。こちらには開場の20分程度前に向かいましたが、その時点で長蛇の列になっており、イベントの人気度・期待度がうかがえました。中ではいくつもの企業が展示をしており、事例紹介やソリューションのデモ、その他参加型のイベント等が開催されていました。



また、企業によっては説明後やデモ・イベントへの参加後にSWAGの配布もしており、かばんやトランプなど、少し変わったSWAGを配布しているところは人が多く集まっている印象を持ちました。Expoの目的は、企業にしてみればより多くの人に知っていただくことなのでSWAGはいい戦略になっていたと感じます。また参加者側の目的の一つはコミュニティの拡大ですので、双方にメリットがあったように感じます。また、多言語に対応しているブースもいくつかあり、参加者の希望した言語の担当者とつなげていただけることもありました。(私の英語力が乏しく、どの言語がよいかと質問されることがしばしば。。。笑)。ただし、基本的には英語が前提であり、セッションの形式としては対話が中心かつ対話からの学びが多いものですので、本セッションは特に英語力が必要だと感じました。

 

A Special Closing Keynote with Dr. Werner Vogel

こちらは、AmazonのCTOであるWerner Vogels氏によるKeynoteで、AI時代における開発者の役割や心構え、これからのエンジニアが目指すべき姿について語られました。
冒頭から、今回の登壇が彼にとって最後のre:Invent Keynoteになるという驚きの発表から始まり、「AIに仕事を奪われるのか?」という近年話題となることの多い質問に対し、「進化し続けるならば、絶対にそうはならない」と断言しました。その根拠として、過去利用していた道具群を例として取り上げ、道具の進化の歴史に触れました。そしてAIも道具の一つであり、「仕事は道具のものではなく、あなたのものである」と発言しました。
また、Vogels氏は、ルネサンス期に芸術と科学が融合し急速な発展を遂げた歴史になぞらえ、現代の開発者が新たなルネサンスを迎えているとし、このAI時代のエンジニアが持つべき5つの資質を提唱しました。

  1. 好奇心を持つこと(is curious):失敗を恐れず実験し、手を動かして学ぶこと(ドキュメントを読むだけではなく、システムのふるまいから学ぶこと)
  2. システム思考(think in systemus):個々の要素だけでなく、全体像を理解し、広い視点でシステムを捉えること
  3. コミュニケーション(communicates):自然言語の曖昧さを排除し、明確に仕様などを伝えられること
  4. オーナーシップ(is an owner):品質に責任を持つこと(AIが生成したコードに対し、人間がレビューと検証を行う責任をもつこと)
  5. 博識家であること(is a polymath):特定の専門分野を深く持ちつつ、幅広い知識も併せ持つ「T型人材」になること


以上のように、AWSとしての発表ではありませんでしたが、今後自身のエンジニアとしての活動を考えるうえで身が引き締まり、大変刺激となる内容でした。まだ見ていないという方は動画を視聴されることをおすすめします! 
※配信URL(https://youtu.be/3Y1G9najGiI?si=mQ2o9KbimsOVjJ-G
※Japan Wrap-up Sessionのライブビューイングで参加したため画像はありません・・

 

お役立ち情報#初心者目線

初参加ということで初日は分からないことも多く戸惑いましたが、徐々に効率よく過ごせるようになっていきました。私と近い境遇の方が、少しでも疑問の解消や事前計画ができるようre:Invent開催期間中の役立つ情報をご紹介します。

 

セッションの参加方法について

セッションの予約は10月上旬ごろから開始されます。基本的には予約したセッションに参加することになるのですが、人気の高いセッションは早々に満席になってしまいます。ただ、これで落胆することはなく、現地で並んでいれば予約者が時間までに来ない等で席に余裕があれば入ることができます。席の開放は開始の10分前であり、その時点でWalk-up側に並んでいる人の先頭から席が埋まるまで参加することができます(逆にいうと予約している人も余裕をもって会場に行くことが求められます)。そのため、どうしても参加したいセッションがある場合は早めに会場へ向かって並ぶのも一つの手だと思います。実際、期間中にセッションが追加されていくこともあり、参加者は予定を変更することが多く、予約者が来ない場合があるため、この方法はかなり有効であると感じました。

 

移動手段

会場が複数のホテルということで、徒歩で回り続けるのは限界があります。そこで期間中は各ホテル間のシャトルバスが走っています。こちらは時刻表のようなものはありませんが、私が利用した範囲では該当の場所へ向かえば基本的にはバスが来ており、来ていないとしても長時間(30分以上)の待ちが発生することはありませんでした。また、バス以外にもモノレールが利用でき、こちらはカンファレンスのバッジにより無料で活用することができました。ただし、これらを利用してもホテル内を歩き続けることには変わりありませんので動きやすい靴を着用されることをお勧めします(私は期間中1日当たり平均25,000歩ほど歩いていました!)。

 

期間中の食事について

re:Inventの開催期間中、各ホテルの会場で朝昼はビュッフェ形式で提供されます(昼はランチボックスの配布もあります)。また、隙間時間にはスナックやドリンクも提供されます。日本の物価と比較すると、アメリカの飲食物は基本高額であるため大変助かります。また、ホテルや日ごとにメニューも異なりますので、セッションの合間の楽しみの一つでした。ただし、内容はさすがアメリカといったボリュームと内容で、脂質や糖質に気をつけている方は選ぶもの・量に気をつけたほうがよいかもしれないです(笑)。

 

AWS Certified Lounge 

AWS Certified Loungeとは、AWS認定資格を一つでも保有している方が入ることが可能なスペースです。入るには、カンファレンスパス購入後に参加者用のポータルから事前登録、もしくは期間中に専用の窓口にてCredlyで認定資格のバッジを提示することが必要です。
スペース内にはいくつかの机や椅子、電源完備の作業用スペースなどがありました。また、ドリンクやスナックなども配置されており、自由に飲食可能です。机/椅子の利用率は高いですが、常に満席というわけではなく、過剰に混雑することもありませんでした。そのため、ちょっとした空き時間の作業や休憩の利用に大変有用なスペースだったと感じます。ちなみにスペースの名称から、資格を保有していることを称賛されたり、さらなる資格取得を後押しされるようなものもあるかもと思っていましたが、そういったものは無く、純粋なラウンジという印象でした。

 

さいごに

AWS re:Inventの初参加を終えて、現地で直接体感した圧倒的な規模感や進化のスピード感は私にとって大きな刺激となりました。また、Keynoteの内容や各セッションへの参加を通して、「情報のインプット」だけでなく「行動によるアウトプット」が重要だと再認識し、私自身の今後の活動を考えるうえで大変良い機会であったと感じます。
本記事をご覧いただいた方、なかでも特に参加されたことのない方を中心に少しでも現地の雰囲気を感じ取っていただき、今後の参加を検討する・参加の際の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!

 

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