
はじめに
こんにちは、NRIでAWS・Azureの技術支援を行っている伊藤です。
2025年11月18日から21日にかけて、サンフランシスコで開催されたMicrosoft Ignite 2025に現地参加してきました。本イベントは2025年5月に開催されたMicrosoft Buildと並ぶ、Microsoftのビッグイベントの一つです。
Igniteはオンラインでも公開されており、私自身もAzureに携わるようになってからは毎年オンラインでチェックしていました。特にKeynoteでは、Microsoftが描く未来像やそのストーリーを支える新サービスが発表されるため、オンラインでの参加でもとてもワクワクします。今年は現地参加の機会を頂けたので、本記事ではその参加レポートをお届けします。
なお、Keynoteの内容やAzureの各種アップデート情報は、オンライン上にて動画やドキュメントが公開されています。そのため、本記事では現地会場ならではの雰囲気や体験を中心にご紹介したいと思います。
Microsoft Ignite 2025 San Francisco
会場はサンフランシスコのユニオンスクエア付近に位置する、Moscone CenterとMarriot Marquisの2つがメインとなり、Keynoteは少し離れたChase Centerで開催されました。

ユニオンスクエア周辺は、商業施設が多く比較的安全なエリアのため観光客でにぎわっていました。一方で、数本通りを隔てると治安の良くないエリアも隣接しており、日本ではあまり見ない複雑な文化を感じました。
Microsoft Ignite 2025では、Microsoft Build 2025で示された「すべての人々がエージェントを構築できるように」というメッセージを受け取るように、AIエージェントに関連する発表がイベント全体の8割以上を占めていました。
Keynoteでは下記3つのAI戦略ビジョンとともに新しいサービスが発表されました。
| 戦略 | 概要 | 実現するサービス |
|---|---|---|
| AI in the Flow of Human Ambition | 人の意図や業務を理解し、人々をつなげインサイトを得る手助けをし、より多くの事をできるようにする |
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| Ubiquitous Innovation | データとビジネスの現実世界との橋渡しをし、分析し、推論し、新しいイノベーションを促進する |
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| Observability at Every layer of the Stack | エージェントと人の共存を踏まえ、可視化、管理、セキュリティガバナンスをより強化 |
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現地イベントをピックアップして紹介
Break Out Session「BRK314: Build agents with Copilot Studio and Microsoft Foundry」
Break Out Sessionは現地参加限定のイベントではなく、オンラインでも配信されているため、本記事を読んで興味を持たれた方は、下記サイトからご視聴ください。
参考:Microsoft Ignite - Session catalog
1,000を超えるセッションの中から、私が現地で特にワクワクしたセッションを紹介します。本セッションでは、Microsoftが提供する2つのエージェント構築プラットフォームであるCopilot StudioとMicrosoft Foundryを組み合わせたAIエージェント構築について、新機能とベストプラクティスが解説されました。主要な発表として、これまでCopilot StudioとMicrosoft Foundryが、互いのエージェントをシームレスに呼び出すことができなかったプラットフォーム間の課題を解決したと発表されました。(発表時点ではプレビュー機能)
これにより、より柔軟で実践的なエージェント構築が可能になります。

もちろん、各プラットフォームのアップデート内容自体も魅力的でしたが、私が一番印象に残ったのは、プラットフォームの棲み分けでした。「すべての人々がエージェントを構築できるように」というビジョンのもと、役割・職種に応じたAIエージェント構築プラットフォームを用意し、それらを共通のフレームワークで連携・強化していく方針が示された点です。

この発表から、Microsoftが「すべての人々」の多様な視点でAIエージェントを創出して欲しいと期待していること、そしてそれを全力で支える姿勢を強く感じました。
配信リンク:Building agents with Copilot Studio and Microsoft Foundry
Lab Session「LAB511:Agentic Knowledge Bases: Next-Level RAG with Azure AI Search」
Lab Sessionは現地参加限定のイベントで、Igniteで発表された新しいサービスや機能を実際に体験することができます。 会場にはPCやモニターなどの環境がすべて用意されており、手ぶらで参加することも可能です。ただし、人気のセッションに関しては専用サイトからの事前予約が必要なため、来年以降参加される方は注意してください。

今回、私が参加したセッションはAzure AI Searchを用いた発展的なRAG(Retrieval Augmented Generation)構築を体験するセッションでした。単一のデータソースを検索する単純なRAGではなく、「質問文を複数の検索クエリに分割する」、「複数のデータソースを検索する」、「複数の回答を統合する」といった各段階でAIエージェント的な動きを追加した、より高度なRAGをAI Searchを用いて構築する内容でした。

正直なところ、Lab Sessionは実際にサービスに触れられるため非常に面白いのですが、セッション内容が時間内に終わらないことが多いです。今回も時間不足のため、Azure AI Searchを最大限体験できたかというと、やや物足りなさを感じました…
それでは、Lab Sessionは現地に行って参加する価値はないのかというとそんなことはありません。驚いたのは、他の参加者の多くが前半の講義パートが終わるとLabに取り掛からず、Microsoftのエンジニアに積極的に質問をし、議論を始めていたことです。講義内容への質問だけでなく、Azure AI Searchの今後の展望について議論を交わしていました。
Lab Sessionの魅力は、新しいサービスを体験できるだけでなく、Microsoftのエンジニアと直接議論できる貴重な機会が得られる点にあります。次回以降のイベントで現地参加される際は、ぜひ質問や議論したいテーマを準備して臨むことをおすすめします。
なお、Lab Session自体は現地限定ですが、資料はGitHubで公開されていますので、興味のある方はぜひご覧ください。
Lab資料:GitHub - microsoft/ignite25-LAB511-build-agentic-knowledge-bases-next-level-rag-with-azure-ai-search
Certification Check-in and Skills OnDemand
こちらも現地参加限定イベントになりますが、現地参加者は事前予約なし・無料でMicrosoftの認定資格試験を会場で受けることができます。
無料で試験を受けられることは、私も事前に知っていましたが、「流石に現地で勉強する時間取れないし、英語で試験受けるのはなぁ…」と躊躇していました。しかし、2日目に試験会場の付近を通りかかると、会場のスタッフに声をかけられました。
私:(うっ、英語でなんて言えば…)私、試験勉強してないので、また次の機会に来ます。
スタッフ:みんな同じことを言うんや。でもな、今回新しい試験が発表されているのは知ってるやろ?
私:いや、知らないです。
スタッフ:今回、β試験としてAI Businessを評価する資格が3つも追加されたんや。全部Fundamental相当だからこの会場でセッション聞いていれば絶対受かるで。
私:(これが宇宙最速合格というやつか!)やります!
という流れで私は現地で新しい試験を受けることになりました。

今回の発表を受けて、現在AI Businessに関連する認定試験は下記4つになります。(AB-100はIgniteの1ヶ月ほど前に公開)
| 資格名 | レベル | 概要 |
|---|---|---|
| AB-900:Copilot & Agent Administration Fundamentals | Fundamental | Microsoft 365 の主要サービスと管理、AI 活用、ID・セキュリティ機能、さらにCopilotのエージェント活用を理解して扱える |
| AB-730:AI Business Professional | Fundamental | Copilotを活用して、日常業務の生産性向上や意思決定に役立てつつ、Outlook・Word・Teams・PowerPoint・Excel などの基本操作と一般的なビジネスプロセスに精通している |
| AB-731:AI Transformation Leader | Fundamental | Copilot と Azure AI を活用して AI 導入の機会評価から変革推進・責任ある AI の実践までをリードし、組織の AI 活用を戦略的にけん引できるビジネス意思決定が行える |
| AB-100:Agentic AI Business Solutions Architect | Expert | Microsoft の AI・Dynamics 365・Power Platform・Azure AI などを活用して、安全でスケーラブルなエージェント主導のソリューションを設計・実装し、企業の業務変革とイノベーションを推進する |
私は今回、AB-731を受験してきました。この試験は、すでに一般公開されているAI-104やAI-900のように、MicrosoftのAIサービスに関する細やかな機能や実装スキルを問うものではありません。むしろ、企業に責任あるAIを導入・提案するうえで必要となる考え方や知識を評価する試験となっています。出題内容はユースケース形式の問題が多く、企業の課題を正しく理解したうえで、適切なサービスや設計思想を選択できるかが問われました。
合格発表は試験が一般公開後となるため、私自身まだ合格しているかはわかりませんが、AIを業務へ浸透させるうえで不可欠な知識を体系的に確認できる内容になっていると感じました。ぜひ皆さんも受けてみてはいかがでしょうか。
EXPO
最後に現地参加限定イベントである、Microsoftやパートナー企業のソリューションが展示されているEXPOに参加してきました。会場はMoscone Centerの地下にある巨大なホールで、全て回るのには歩いて20分ぐらいかかりました。

会場にはさまざまな企業がブースを出展しており、どこも多くの来場者で賑わっていました。各ブースでは企業ごとの Swag を配布しているのですが、個人的に特に気に入っているのがAzureのサッカースカーフです!
これは、2025年7月に Premier League と Microsoft が AI パートナーシップを締結したことに合わせて展示されていたブースで配布されていたもので、長蛇の列に並んでゲットしてきました。あまりにも主張が強すぎて普段外に持っていくことはありませんが、Microsoftのイベントに参加する際には、持って行ってAzureの熱狂的なファンであることをアピールしたいです。

おまけ:ご飯は無料で配布されるけど…
会場では朝食と昼食が無料で配布されます。サンフランシスコは物価が高く、カフェやレストランで食べようとするとかなりお値段がかかってしまいます。そのため、非常にありがたかったのですが、朝食も昼食もとてもボリューミーです。

おわりに
今回はMicrosoft Ignite 2025の現地参加報告ということで、少しでも皆さんに現地の雰囲気が伝わればと思い、本記事を書かせていただきました。
また、Microsoft Ignite 2025で発表された内容は下記のBook of Newsにまとめられていますので、発表内容が気になる方はまずこちらを確認してみてください。
Book of News:マイクロソフト Ignite 2025 ニュースブック
本記事を読んで、Microsoftのカンファレンスに興味を持った方は日本でもイベントが開催されているので、ぜひ参加してみてください!
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