はじめに
こんにちは、NRIの浜崎です。
先日、クラウド運用にクローズアップしたイベント、Cloud Operator Days Tokyo 2024 に参加してきました。
イベントは2024年7月から講演がオンライン配信され、9月6日にお台場でクロージングイベントでも講演を行うといった形式となっていました。
私は2023年度に生成AIによる障害対応支援の検証を実施し、その活動をクロージングイベントで発表してきました。本記事では、イベントの様子や発表内容をご紹介します。
Cloud Operator Days Tokyo 2024について
Cloud Operator Days Tokyoはクラウド運用で直面する課題に対する議論やコミュニティ形成を目的としたイベントで、今回はオンライン配信とクロージングイベントの二段階構成となっていました。
クロージングイベントについては、お台場のdocomo R&D OPEN LAB ODAIBAで開催されました。オープニングから始まり、一般講演、Keynote、アワード表彰式、CTOパネルディスカッションといったプログラムです。
一般講演は、オンライン配信したものの中から関心の高かったものがクロージングイベントでも講演に招待されるという形式となっています。オンラインとクロージングイベントともに15分間といった比較的短めのセッション時間が設定されており、要点に絞った内容を数多く聞くことができるイベントとなっているように思います。
クロージングイベントの様子
講演のテーマとしては、オブザーバビリティや生成AIといったキーワードを一番多く聞いた印象です。一方で、AWS CloudFormation Guardを掘り下げた話やeBPFによるLinuxカーネルとの格闘の話などもあり、広く概念的な内容から地に足を降ろした具体的な運用現場の内容まで、様々な内容が共有されていました。
会場の雰囲気もアットホームな印象で、発表や交流のしやすいイベントとなっているように感じました。
発表した内容
私は生成AIによるシステム障害対応支援の検証について発表しました。
発表はNRIでシステム運用のコンサルタントをしている木村 誠明さんとの共同登壇で、木村さんがシステム運用への生成AI活用に関する全体像を語り、私が実践編ということで障害対応時の検証活動について話しました。
検証活動では生成AIに外部情報を与えて利用するRAG構成*1を構築し、過去のインシデント情報を与えることでの障害対応への有用性を評価しました。チャットボット形式のインタフェースをプロトタイプとして用意し、発生したエラーメッセージ等で質問をすることで過去に似た障害が無かったかについて確認したり、それらを基に原因や対処方法を教えてもらったりといった使い方で検証を行いました。
昨年度の段階では過去のインシデント情報だけを与えたものでしたが、それでも一定の有用性が確認できました。特に必要な情報を早く得られるという点や、新人やプロジェクトへの新規参画者でも情報を簡単に引き出せるという点は生成AI活用の強みと感じました。
生成AIの活用においてはセキュリティ対策が重要となりますが、検証活動では、NRIが提供するパブリッククラウド運営サービス「QUMOA」を活用しています。QUMOAでは生成AIを利用するためのクラウド環境をセキュアな状態でスピーディに提供することができます。
アワード受賞
本クロージングイベントではいくつかの賞が用意されており、私達はオーディエンス賞をいただきました。オンライン配信の視聴数が最も多かったものに贈られるということで、有り難いことに多くの方に興味を持って視聴いただいたようでした。
最優秀オペレーター賞や審査員特別賞に選ばれたものは、実際の現場での話を分かりやすく一般化して共有していたことが評価されているように感じ、最新技術も大事ではありつつも運用の現場の苦労と情報交換をする場という印象でした。
有り難くも賞をいただいたので、来年以降もまた機会があればCloud Operator Days Tokyoで講演を行いたいと思います。
さいごに
パブリッククラウド活用では最新技術やそれらを利用した最新のサービスに目が向きがちですが、クラウドを利用していく上で運用は切っても切り離せません。システムやサービスの運用の中では様々な課題と向き合い苦労することも多いものの、そこで得られた知見は非常に貴重なものであり、それがまた誰かの役に立つものなのだと感じました。Cloud Operator Days Tokyoはなかなか表に情報を出す機会の少ない運用にスポットライトを当てた良いイベントでした。
今後もクラウドの運用を支えるサービスを充実させていくためにも、社内外での意見交換などを通じてさまざまな情報を取り入れていきたいと考えています。
NRIではクラウド運用、クラウドでの生成AI活用を支援するサービスをご提供しています。ご関心のある方はお気軽にお問合せください。
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*1:RAG … Retrieval Augmented Generationの略、生成AIに外部情報の検索結果を合わせて入力として与えることで、外部の知識を踏まえたテキスト回答を得る手法・技術