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日本人唯一のOracle ACE Director!世界基準のトップエンジニアへ先進的な取り組みや技術の活かし方をインタビュー!

atlax編集部

「Oracle ACE」の中でも最上位となるOracle ACE Directorに2023年4月、唯一の日本人として株式会社野村総合研究所(以下、NRI)の大塚紳一郎が認定されました。



データ活用ソリューションの設計・開発・展開などの通常業務に加え、大規模カンファレンスへの登壇や日本のOracle技術者コミュニティの運営・サポートといった活動を行うだけでなく、実技試験Oracle MASTER Platinum・Oracle Cloud資格において常に最新バージョンの取得を通じた自己研鑽も継続している大塚 紳一郎に先進的な取り組みや技術の活かし方への熱い思いを取材しました。

OracleACEプログラムとは?
オラクルの製品とテクノロジーのエキスパートの認定を目的に、米国オラクル・コーポレーションが展開するOracle ACEプログラムにて、米国オラクルのOracle ACEプログラムチームが、テクノロジーのエキスパートを認定しています。認定を受けたエキスパートはエバンジェリストとして、技術者コミュニティをリードすることが求められています。認定後は、米国オラクル社と最も緊密に関係を持つトップレベルのOracleコミュニティ・メンバーとなり、オラクル製品開発・戦略 チームとのブリーフィングやOracle Technology Network (OTN)ウェブサイトへの技術記事の最速・最優先での掲載、米国オラクル社とサードパーティイベントでのスピーチなどの活動が行えます。

 

Q1:これまでの職歴についてお聞かせください。

2003年に新卒でNRIに入社して以来、一貫してOracle Database を中心とするミッションクリティカルシステムの構築・運用・コンサルティングに従事してきました。 私の職歴はOracle Database の進化の歴史と重なります。 サーバ・ストレージを個別に用意して組み合わせてデータベースシステムを構築していた時代からスタートして、数々のDB新技術の登場を経て、ハードとソフトが一体化したEngineered system へ。そして Oracle Cloud へと、その進化と共に歩んできました。 このような継続的なイノベーションはとてもエキサイティングで、情熱を持って技術研鑽を続けています。

 

Q2:日本人唯一のOracle ACE Directorになり、よかったことや知見や技術をどのように現場で活かしていますか?

まず良かったと思うことは、オラクルの最新技術でイノベーション起こしていきたいという高い目的意識を持った世界のトップエンジニア達と交流の場を持てることです。オラクル製品開発・戦略 チームとの情報共有やMeetingが毎月開催され、米国はもちろん他の国の取り組みや知見をキャッチアップすることで、常に視座を高く維持することができます。もちろん私からも世界のエンジニアへ、日本人エンジニアとしての創造力と情熱を発信していきます。

次に知見や技術についてですが、 Oracle ACE Programには、Oracleの最新サービスのトライアルや、 製品のβ Program Trial、Code contribution、新機能リクエストなど 数々の活動プログラムがあります。 最上位の認定を目指したのは、Oracle ACE Programを通じ、 NRIがオラクル技術に関する先進性を確保しつづけることに寄与できると思ったからです。活動プログラムから得た知見や恵まれた環境を最大限活用して、1つでも多くのソリューションを創発し、お客さまと共に社会に貢献していきたいと考えています。

 

 

Q3:エンジニアとしてお客様に貢献していくうえで大切にしていることがあれば教えてください。

お客さまの直面されている困難な状況に、すべての知識を動員し、短時間で最適な解決策をご提示することです。これに応えるには日々の研鑽を継続する努力が大切と考えており、常に実践しています。

例えば、お客様の24時間営業を支えるシステムの更改に伴う切り替えに際して、「停止時間は極力少なくしたい。」という課題がありました。 私は今まで培ってきたOracle Databaseの深い仕様の理解から10分で既存システムのDBを新システムに切り替える特許を考案し、お客さまの課題を解決しました。自己研鑽を続けてきた成果だと感じられ、とても嬉しかったです。ちなみに10分の大部分は確認の時間のため、 切り替えによるシステム停止は約1分でした。お客さまの喜んでくださった笑顔は今でも忘れられません。

 

Q4:Oracle Database の構築・運用・コンサルティングに関して 20年の経験を持つ大塚さんですが、エンジニアとして今後どのような取り組みが重要になってくると思いますか?

ビジネス上の意思決定を行う際に、国や社会を超えて地球のことを念頭に置くべき時代になりました。データエンジニアリング技術はこれからのビジネスを支える役割を担っており、世界の差し迫った課題に取り組むという、高い視座が重要になってくると考えています。
いま、欧州では持続可能な社会の創造を目指し、電池のリサイクルを義務づける欧州電池規制や、輸入品に伴う温室効果ガスの排出量の報告を義務づける欧州国境炭素調整措置が検討されています。これにより日本およびその他のアジア企業などは、自社のサプライチェーンで二酸化炭素排出量の算出をする必要に迫られています。これは、これからの世代の未来へ向けて解決しなくてはならない課題です。この解決にはデータの新しい価値である「真正性※1」と「トレーサビリティ※2」の最大限の活用が必要だと思っています。
私は今、カーボントレースシステム「NRI-CTS※3」という自社サービスの開発に携わっています。 これはデータに「真正性」と「トレーサビリティ」という新しい価値を付与するOracle Database 21cの最新イノベーションテクノロジーを活用することで成立することができたサービスです。
NRI-CTSは、改ざん検出機能、トレーサビリティ機能、再生可能エネルギー証明書の利用機能等を保有し、部品表に基づいた企業間の取引を伴うサプライチェーンにおけるカーボンフットプリントや温室効果ガス排出量を算出することが可能です。このサービスを通じて世界中のユーザーの気候変動への取り組みをサポートしていきたいと考えています。

 

Q5:NRIで今後やりたいことや目標があれば教えてください。

NRIは、コンサルティングによって問題発見から解決策を導く「ナビゲーション」と、システム開発・運用などによって課題解決を実現する「ソリューション」までを一貫して提供できることが強みです。 先ほどのNRI-CTSはこの事例のひとつです。 この「ナビゲーション×ソリューション」に共感し、私はNRIに入社しました。今後もデータの価値にフォーカスして「ナビゲーション×ソリューション」による革新的なサービスを創発し、 日本にとどまらず、世界に、より良い変化をもたらしていきたいと考えています。 今、重要と考えているキーワードはデータ主権※4です。 先ほど二酸化炭素排出量のお話しをしましたが グローバル視点でデータ流通を行う際に避けて通れないキーワードです。 欧州のデータスペースに専用のコネクタを通じて接続して、より高いデータの価値をお客様に提供できるようにデータ主権に基づくアクセス制御を実現したいと考えています。 一方の米州におけるデータ連携で重要と考えるファクターはDelta Sharing※5です。 いまから3か月前の2023年5月にOracle CloudのAutonomous DatabaseにDelta Sharingコネクタが搭載されました。 とても素晴らしい発表です。 Oracle ACE Directorとして技術で、イノベーションを起こしていきたいと考えています。

 

Q6:最後に読者やお客様にメッセージをお願いします。

Autonomous Databaseに象徴されるOracle Cloud はOracle Databaseを中心とするミッションクリティカルシステムの将来像を模索する上で最も重要な存在です。 Oracle MASTER Platinumで培ったOracle Database技術とOracle MASTER Cloudから磨き続けた先進のクラウド技術を、「データの価値」にフォーカスして高い次元で融合し、ミッションクリティカルシステムの真のモダナイゼーションを牽引していきたいと思っています。 Oracle Cloudは、2019年5月に東京リージョンが開設、翌年2020年2月に大阪リージョンが開設し、成長を続けている状況です。それだけでなく、Oracle Database 23cもアナウンスされ、さらに存在感が高まっています。NRI-CTSを支えているコンバージド・データベースというコンセプトは「データの価値」をさらに高めるための重要なマイルストンとなることでしょう。 私の実績、経験、日々の研鑽の全てを総動員して、お客様のチャレンジを支援させていただきます。

 

取材を終えて

atlax編集部 中の人です。今回は、2018年10月にOracle ACE Associate の認定を受け、2023年4月にOracle ACEの最上位となる「Oracle ACE Director」に認定された大塚 紳一郎にお話を伺いました。
目の前にある課題を技術で解決していくことに加え、世界で最も差し迫った課題に取り組んでいくために自己研鑽を続け、カンファレンスでの登壇やコミュニティ活動を行われていることが分かりました。 世界の動向を常に考え、世界の人々にとって、より良い環境を作っていくために、エンジニアとしてさまざまな情報収集を行い、技術を活かしたソリューションを生みだし続けている姿に胸が熱くなりました!

2023年9月21日にOracle社がラスベガスで開催する、Oracle製品ユーザコミュニティ向けの大規模イベント「Oracle CloudWorld」にて、NRIの大塚 紳一郎、植村 哲士が登壇します。

セッション情報はこちら(英語ページとなります)

参加される方は是非、ご観覧、ご視聴いただければと思います!


これからも atlaxブログでは、さまざまなクラウドに関する役立つ情報や、NRIの最新の取り組み、さまざまな領域で活躍するNRI社員に関する情報を発信してまいります。

Oracle ACEについてはこちら

※1 真正性:人、モノ、データ、記録など対象とするものが本物であること。 また、対象が本物であると証明できる性質のこと。
※2 トレーサビリティ:追跡可能性。対象について、生産から消費までの過程を追跡すること。
※3 NRI-CTS:詳しくはこちら
※4 データ主権:データ所有者が自分のデータを制御および管理する権利
※5 Delta Sharing:データを共有するためのセキュアなオープンプロトコル

 

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