みなさんこんにちは。AWS APN Top Engineer の北條学男です。今回は、Well-Architected Lead としての立場で、「AWS Well-Architected レビューが一体どのようなものか」を、少しご紹介をします。
AWS Well-Architected レビュー とは
アマゾン ウェブ サービス(AWS)が提供する AWS Well-Architected フレームワーク に沿った「ベストプラクティスの質問」を活用したレビューです。レビューを通じて、実際のワークロード(業務およびシステム)との差分を把握することで、ワークロードの改善点やリスクを明らかにすることができます。
NRIは、2020年に「AWS Well-Architected パートナープログラム」認定を取得 しており、現時点で 約10名の Well-Architected Lead が在籍しています。
Well-Architected Lead になるには
Well-Architected Lead になるためには、
- AWS 認定ソリューションアーキテクト プロフェッショナルを取得
- AWS が開催する研修(Well-Architected Bootcamp)への参加
が必要です。
Well-Architected Bootcamp は、他の AWS パートナーの方とチームを組み、Well-Architected の様々なテーマに対してディスカッションを行う形式で、非常に勉強になります。この研修を修了することで、Well-Architected レビューを実施することができる「Well-Architected Lead」として活動することができます。
実際に AWS Well-Architected レビューを受けるとどう感じるのか
実は私自身、Well-Architected Leadになる随分前に、レビューを受ける側として AWS Well-Architected レビューへ参加した経験があります。その時のレビューアーは、AWS社のソリューションアーキテクト(SA)の方でしたが、非常にざっくばらんな雰囲気で進行していただきました。
レビューの中で、全く視点として考慮していなかった質問について「この視点が必要だという事に気付くことが重要であって、今ない事実については今後の改善点として挙げるのが良い」という主旨のお話や、「ワークロードによっては質問の方が合わないケースがあるので個々に判断が必要」という話が、個人的には非常に印象に残っています。
レビューの内容はとても参考になることも多く、当時 AWS 環境を構築・維持する立場として、非常に勉強になりました。このあたりは、どうしても「レビュー」と言われてしまうと色々身構えてしまいがちなので、レビューをする側になっても気を付けていかないといけないなと感じています。
AWS Well-Architected レビューを実施する側が気を付けること
その後、AWS Well-Architected レビューをする側に回りましたが、レビューを実施する際に気を付けていることがあります。新型コロナの件が無ければ、オフラインでお茶とお菓子を用意して和気あいあいと進めたいところではありますが、現在ではなかなか難しいのでオンライン前提での話になります。
まず、必ず簡単なアイスブレイクを挟みます。どうしても「レビュー」というと身構えてしまう方も多いかと思います。最近のオンラインがベースのレビューの場合は、オフラインでのお茶やお菓子を出す代わりに、ちょっとした雑談を挟んでレビューを受ける方の緊張をほぐすように心掛けています。
次に「Well-Architected レビューとは何か」「Well-Architected レビューを受けた結果どうなってほしいか」についてお話をするのですが、ここで「現状でベストプラクティスを満たしていなくても何ら問題はなく、Well-Architected レビューを受けた結果、問題点を発見したことが重要である」ということを、レビューを受ける方にきちんとお伝えしています。
そして、AWS Well-Architected Tool を活用しながら実際のレビューに入りますが、どうしても「セキュリティの柱」など、センシティブになりがちな話題があります。質問に対して、回答が条件を満たしてなかった場合、レビューを受ける方の気持ちがどんどん暗くなっていってしまうため、できていない事にフォーカスするよりも、「今できていること、問題に気付いたこと」に対してフォーカスしてレビューを進行し、レビュー終了後、レビューを受けた方が前向きな気持ちで、この先の改善活動に取り組めるよう心掛けています。
AWS Well-Architected レビューはワークロードの健康診断
このようにレビューを進行していくと、大抵のワークロードでは「要改善」が 15 ~ 25 くらいは簡単に出てくると思いますが、普通です。繰り返しますが、普通です。何ら問題はありません。
大事なことは、「AWS が考えるベストプラクティスに沿って評価してみた結果、これだけの考慮点が出てきた」ということです。考慮点が明らかになったら、各ワークロードの個々の事情に則って、「どう改善するのが良いのだろうか」「改善する必要が無い点はどこか」「理由は何か」ということをディスカッションすることが最も大事です。どうしてもワークロード(プロジェクト、システム)個々の事情というものはありますし、それが AWS が考えるベストプラクティスと離れていることもあると思いますので、改善できない点があることは致し方ないと考えます。ただし、改善点が明らかになるので、その後の見直しと改善は必要です。
AWS Well-Architected フレームワーク自体も、Serverless Lens や Finalcial Lens など、各ワークロードに特化したベストプラクティスが登場したり、設問自体のバージョンアップが繰り返されていますので、一度 Well-Architected レビューを実施したから終わりではなく、健康診断のように Well-Architected レビューを定期的に行い、「自分たちのワークロードが今どのあたりにいるのか」を、第三者的な視点で確認・改善し続けることが必要なのではないでしょうか。
最後になりますが、NRIでは AWS Well-Architected レビューを基に、お客様の AWS 環境の評価・改善に向けてサポートを行っております。Well-Architected レビューに興味がある方は、ぜひお気軽にご相談ください!
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野村総合研究所(NRI)は、AWS プレミアコンサルティングパートナーです。多数の顧客エンゲージメントや幅広い経験、顧客とのフィードバックやサクセスストーリーの収集を通じて、2013年に日本で初めて認定されて以降、9年連続で AWS プレミアコンサルティングパートナーに認定されています。
また NRIは、2019年に「AWS マネージドサービスプロバイダー」認定(VCL 4.0)、2020年に「AWS Well-Architected パートナープログラム」認定を取得しており、コンサルティング、システム開発・運用、アナリティクスといった幅広い分野で、お客様の課題解決に AWS を活用し、DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現に取り組んでいます。
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