[登壇者] 株式会社野村総合研究所 マネージドサービス推進部 深津 康行
クラウドの活用は DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の重要な手段であり、変革を迫られている企業にとって不可欠となりつつあります。しかし、実際に利用するにあたっては多様な課題が存在し、効果的かつ安全に企業がクラウドを活用できているケースは、多くはありません。
2021年12月8日、株式会社野村総合研究所(NRI)が開催した atlax Forum 2021 Online「トラック C: クラウド・セキュリティ・運用」の セッション「C-1: 変革を成功に導く クラウド活用」では、クラウド基盤運営を専門とする 深津 康行が、「企業の変革を推進するために、どうすればクラウドをフル活用できるのか」について解説しました。
- セッション「C-1: 変革を成功に導く クラウド活用」の様子。
クラウドサービスの多様化と パートナー制度
「デジタル変革」「ワークスタイル変革」「プラットフォーム変革」など、企業で取り組み中の変革の多くを クラウド活用が支えています。クラウド活用部門の多様化に加え、クラウドサービス自体の多様化やマルチクラウド化も進み、企業は自社の力で「エンジニアリング力」と「ビジネス応用力」の両方を兼ね備えたリソースを整えることが、困難になってきました。
クラウドベンダー各社は「パートナー認定制度」を設け、企業のクラウド活用を支援できる「パートナー企業」を選出しています。認定パートナー企業の中でも、上位の認定を受けた企業には、クラウドベンダーとの密接な連携体制があり、大規模障害が発生した際の迅速な対応や、新しい技術を早期に取り入れるといったサポートを受けることができます。認定パートナーによる支援サービスは、企業のクラウドに関するリソース問題を解消するとともに、変革を実現する手厚い助けといえます。
- NRIは 複数の主要クラウドプラットフォームで 最上位パートナーランクを維持し、認定資格を有した経験豊富なシステムコンサルタントや テクニカルエンジニアが お客様にとって 最適なサポートをご提供しています。
クラウドを取り入れる企業が 取り組むべき 3つの主要課題
導入が進む一方、「クラウドを使い始めたものの なかなか活用は進まない」とご相談いただくケースも非常に多くなっています。「先進的な技術」「高い利便性」「間断ない進化」といった、変革を加速するクラウドの特性を前提に、企業が社会へ継続したサービスを提供するための 3つの課題・ポイントをご紹介します。
課題 1: 自社にとって 最適なアーキテクチャの検討
オンプレミスの時代から長年蓄積した技術資産を保持している企業において、オンプレミス上の既存資産(システム、運用・セキュリティ基盤、運用体制、運用プロセス、セキュリティポリシーなど)を、クラウドにどのように取り込むか。「既存資産をクラウド上のシステムにも活用」「クラウドネイティブなシステムを再構築」など、様々なアーキテクチャの選択肢があります。システムや既存資産の特性を無視して構築を進めた場合、環境制約によってクラウドのメリットを享受できない問題や、再構築の負荷がかかり過ぎる問題が起こり得ます。自社のシステムや既存資産の性質に応じて、最適なアーキテクチャが異なるため、検討が必要です。
課題 2: 自由と統制のバランス
クラウドは個人でも容易に利用できる「利便性の高いサービス」です。その利便性が DX を加速する反面、使い方を誤った場合の影響も大きく、各人の誤りからシステムを保護するために、企業は内部統制を必要とします。つまり、クラウド操作の利便性に制限をかけることになります。
「クラウドの操作権限をどこまで開発者に与え、どこから制限するか」という点は、利用する企業にとって、まさに分岐点です。操作権限の統制には「予防的統制」と「発見的統制」の 2種類があり、最近では「発見的統制」が注目されていますが、過信はできません。「予防的統制」と「発見的統制」を組み合わせ、求められるアジリティ(俊敏性)と 統制のレベルから、バランスを見極めた運営が重要です。
-「予防的統制」と「発見的統制」を組み合わせ、バランスを見極めた運営が重要。
課題 3: クラウドの進化への追従
主要クラウドベンダーのサービスは、いずれも加速度的に新しい機能をリリースし続けています。進化を他社よりも早く自社システムに取り込むことは、IT 競争力の向上に結びつきますが、同時にクラウド上に構築した自社のポリシー・プロセスや運用基盤といったクラウド活用の仕組みが、すぐに陳腐化してしまう課題に直面します。陳腐化した状況でクラウドを利用し続けると、セキュリティ事故につながるリスクがあります。そこで、クラウドをデジタル変革の道具として十全に活用するには、クラウドの進化に合わせて、クラウド活用の仕組みも能動的にアップデートを続けられる「運営作り」が鍵を握ります。
- 常にアップデートし続けることで、IT 競争力や セキュリティホール等に関わる 諸問題に対応。
クラウド活用における成功の鍵を握る CCoE
クラウドを取り巻く様々な課題を組織的に解決し、全社レベルのクラウド活用を推進する専門組織「CCoE(Cloud Center of Excellence)」の重要性が高まっています。CCoE は、クラウドの積極的な活用を促す「攻めの役割」と、統制の機能を果たす「守りの役割」の 2つを担います。フォーラムでは、CCoE の組成・運営のポイントと事例について、深津 康行が 分かりやすく解説し、セッションを結びました。
- DX 推進をゴールに見据え、クラウド活用を全社レベルに広めていくための CCoE の活動。
主要クラウドプラットフォームのサービス提供パートナーとして
NRIは、クラウド活用の改善をお客様企業とともに積み重ねてきた経験を活かし、企業の実態に寄り添った CCoE 運営の確立と定着を支援しています。AWS、Azure、Google Cloud、OCI といった主要クラウドプラットフォームのサービス提供パートナーとして、お客様が抱える課題の変化に応じて、今後も最適なソリューション・サービスを提供し、DX の実現に取り組んでいきます。
関連リンク
・atlax / ソリューション・サービス / クラウド化推進組織(CCoE)
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・atlax / NRIのエキスパート / 深津 康行 - クラウド化推進組織(CCoE)
開催概要
atlax Forum 2021 Online について
[イベントタイトル] atlax Forum 2021 Online
[開催日時] 2021年12月8日(水) 13:00 ~ 16:30
[開催形式] オンライン配信
[参加費] 無料(事前登録制)
[主催] 株式会社野村総合研究所
・atlax Forum 2021 Online - お客様の「DX」を実現する NRIの取り組み - ※フォーラム特設ページへ
Track C: クラウド・セキュリティ・運用
・atlax Forum 2021 Online 開催レポート「Track C: クラウド・セキュリティ・運用」 - 変革を支え、時代とビジネスを生き抜くためのセキュアなシステム -
・atlax Forum 2021 Online 開催レポート(Track C)「C-1: 変革を成功に導くクラウド活用」
・atlax Forum 2021 Online 開催レポート(Track C)「C-2: DX や 新しい働き方に貢献する ゼロトラスト」
・atlax Forum 2021 Online 開催レポート(Track C)「C-3: DX 時代を歩んでいくために、今だからこそ実施すべき運用高度化」
お問い合わせ
atlaxでは、本セッションでご紹介した「クラウド化推進組織(CCoE)」「クラウドマイグレーション」をはじめ、ソリューション・サービス全般に関するご相談やお問い合わせを承っております。
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