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AWS Summit Japan 2026現地参加報告

はじめに

こんにちは、NRIで物流業界におけるシステム設計・開発・構築を行っている鳥居です。
2026年6月25日(木)、26日(金)に幕張メッセで開催された AWS Summit Japan 2026に現地参加しました。AWS Summit Japanはアマゾン ウェブ サービス(AWS)が主催する、国内最大規模のクラウドテクノロジーカンファレンスです。今年もエンジニアから経営層まで幅広い方々が参加しており、会場は非常に活気に溢れていました。私はAWS Summit Japanに参加するのは今年で3年目となりますが、毎年来場者が増えており、今年は特に多かったと感じました。
NRIの1エンジニアとして、生成AI・エージェンティックAIを中心とした最新技術のキャッチアップを目的に会場を回ってきました。本レポートでは、私が参加した基調講演・セッション・ミニセッションの内容と、現地で得た気づきをお伝えします。

 

【1】本番展開を見据えて——エージェンティックAIに対する実践的アプローチ

基調講演も行われるメインステージのRoom1〜6では、主にAWSのエンジニアによるセッションが多数行われていました。毎年感じていますが、AI関連・エージェント関連の話題がとても多く、AI時代の盛り上がりを感じます。その中でも、私は金杉 有見子氏によるAI導入の本番展開に関するセッションを聴講しました。



冒頭、S&P Globalの調査として「組織が取り組む AI 実証実験の46%は、本番導入に至る前に打ち切られている」という数字が示されました。個人的には納得感のある数字でした。もちろんPoCの段階であるため一部が中止の判断が下るというのは健全なプロセスではあるものの、本セッションでは、本当に価値をもたらしたであろうプロジェクトが打ち切られることがないよう、プロダクションまでもっていくための4つの柱(運用上の優秀性・データとコンテキスト・信頼性・堅牢性)が体系的に解説されました。
特に印象的だったのが堅牢性の文脈で語られた、同じ入力に対して安定した出力を得るために可能な限りコードで解決するという話です。具体的には、現在日付の取得するために `get_current_date()`をツールとして呼ぶ代わりにメタデータとして渡すだけで、LLM呼び出しを1回減らし25%高速化できるという話は、非決定的なエージェントの信頼性を向上させる手法として納得感のあるものでした。
他にもAgentCore Observability や AWS Agent Registryなど、本番運用を支える新サービス群も多数連携されました。

 

【2】政府の生成AI基盤「源内」

事例セッションではデジタル庁の大月真史氏が登壇した政府で内製化している生成AI基盤源内についての講演もありました。ニュースでも取り上げられており興味があったため、良い機会だと思い聴講しました。



講演の前半では、デジタル庁ですでに稼働している生成AI基盤「源内」の「エージェントの実装」「セキュリティ」「ツールの設計方法」についての話がありました。特に官公庁という高度なセキュリティが要求される場で、ユーザー境界・NW境界・アカウント境界を定めることでエージェントの動作を物理的に塞ぎ、危ないことができない設計アプローチをとった話は参考になりました。この事例に限らずインフラ層でAIが書き換えられないように設計する動きは重要になってくると予想されます。
後半では、「マルチテナントで18万人に配る(テナント数40~)」というタイトルで源内アプリを少人数の開発チームで大規模展開している事例の説明がありました。 テナント管理をYAML宣言+GitOpsで自動化し、運用負荷をテナント数に連動させない工夫も紹介されており、大規模のAI基盤設計として参考になる事例でした。

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【3】Amazon Nova Forge——汎用性能を活かしたドメイン特化モデルの構築

AWSサービスのユースケース紹介やPhysical AIに関するデモ、AI深層学習によるカラオケなど興味深い展示が多くある「AWS Expo」のエリアでは 事前予約なしで聴講しやすいミニセッションも開かれており、私もいくつか立ち止まり聞くことができました。



その中の一つのミニセッションでは、AWSの基盤モデル「Amazon Nova」をベースにファインチューニングやドメイン適応を通じて特定業務に最適化されたモデルを効率的に構築できるサービスであるAmazon Nova Forgeに関する説明がされました。
Amazon Nova Forgeを使用することで自社データとNovaの学習データをブレンドし、汎用性能を落とさず専門性を高めることができます。自社データや業界特有の知識をAIに組み込みたいという要求がある際に、コスト・精度・開発速度のバランスがとれたアプローチをとることが可能となります。
セッションでは、Amazon Nova Forgeの事例として、NRIの金融市場に特化した専門モデルの紹介がされました。昨年度(re:Invent 2025)のキーノートの事例でも紹介されていた事例となります。 SageMaker AIのマネージド学習インフラ上で、金融業界の独自データとNovaのキュレーション済データを組み合わせファインチューニングした日本語金融サービスLLMを構築した内容が共有されました。

 

【4】AI活用!Kiro CLIと挑むトラブルシューティング

AWS展示ブース「AWS Expo」の中で特に興味を惹いたのはKiro CLIによる障害対応に関する展示です。展示では、504エラーが返ってしまったALBに対して、「原因を調べて解決して」と自然言語でKiro CLIに依頼をすると、KiroがALB/Listener/Target Groupとリソースを確認していき、最終的にALBのSecurity Groupが閉じられていることが障害の原因であると特定するまでの動作を体験することができました。
これまでの障害対応では、緊急対応の中で人間がこれらの動作を目検で実施もしくはコマンドを打って確認することが多く、時間がかかるうえ、障害対応をするエンジニアの能力に強く依存していました。Kiro CLIを用いることで、本番環境の状態を素早く把握し迅速な障害対応を実現している様子を直にみることができました。
もちろん本番環境に意図しない変更を加えないよう正しく権限制御を行う必要がありますし、変更作業は人手で実施する必要がでてくるものの、ヒト依存から脱却した障害対応を実現できる日が近いかもしれないと感じました。

 

まとめ

今年のAWS Summit Japanは、生成AIの「PoC段階から本番運用へ」という転換期を強く感じるイベントでした。エージェンティックAI・政府基盤・ドメイン特化モデルと、異なるテーマのセッションを聴講しましたが、いずれにも共通していたのは「いかに信頼性・安全性を担保しながらAIを実運用に組み込むか」というテーマです。NRIのエンジニアとして、業務領域でのAI活用を加速させるためのヒントを多く得ることができました。今回得た知見を業務や社内への情報共有に活かしていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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