
はじめに
こんにちは。NRIの中山です。
あなたは何かを調べたいと思った時、まずどうしますか?
一般的な情報ならば検索エンジンでキーワードをもとに調べたり、生成AIに聞いてみたり。
社内の情報ならば社内ポータルでほしい情報を検索したり、ファイルを探している場合はSaaSのストレージサービスやオンプレミスのファイルサーバで探してみたり。ただ、欲しい情報がすぐに見つからない・見つけられない、なんてことも多いと思います。そのような時、Google Cloud の「Agent Search」を使うことで、正確・スピーディー・便利に検索することができます。
検索エンジンとして出発した Google はいまや世界を代表するIT企業ですが、非常に優れた検索アプリケーションのプラットフォーム構築サービスも提供しています。本ブログでは先日ラスベガスで行われた「Google Cloud Next ‘26」での発表も交えつつ、 Google Cloud の「Agent Search」についてご紹介します。
自己紹介
本ブログの執筆を担当している中山について自己紹介をします。
2016年にSIerに新卒入社後、インフラ系エンジニアとして従事、Google Cloud のシステム構築や運用を中心に担当してきました。 NRIには2025年に入社し、その年に「Google Cloud Partner All Certification Holders 2025」を 受賞しました。
Google Cloud のAIプラットフォームについて
Gemini Enterprise
まずは Google Cloud の提供するエンタープライズ向けAIプラットフォームについて説明します。
2026年4月22日から24日にかけてラスベガスで行われたGoogle Cloud Next ‘26にて、『Gemini Enterprise Agent Platform』が発表されました。元々Google Cloudでは従業員向けの生成AIアシスタントサービスの「Gemini Enterprise」や、機械学習の開発・運用プラットフォームである「Vertex AI」を提供していましたが、それらが改称・統合されて『Gemini Enterprise』という統合ブランドに進化しました。
※旧「Gemini Enterprise」は「Gemini Enterprise App」に改称

引用:Japan Session and Reception サマリーセッション(P11)
https://services.google.com/fh/files/events/nxt26_jpn_prgm_smry_ssn.pdf
Google CloudのAIプラットフォーム活用をより強化するために、従業員・開発者・顧客に個別に提供していたAIプラットフォームを「Gemini」の名の下に統合しました。
Gemini Enterprise Agent Platform
前述の通り、これまで開発者向けとして提供されていた機械学習の開発・運用プラットフォームである「Vertex AI」が、2026年4月に「Gemini Enterprise Agent Platform」に改称されています。
この改称は、従来のユーザによる問い合わせに答えるAIツールから、Agentどうしが連携し自律的に行動、目的の遂行まで達成するという言わば ”Agentic”な世界の実現に向けたものであると考えています。Agent Platformは4つのコンポーネントで構成されています。
- Studio(AIモデルのテストやプロンプト開発プラットフォーム)
- Agent(AIエージェントの構築・運用プラットフォーム)
- Model(事前構築済みのAIモデルが提供されているプラットフォーム)
- Notebook(ML開発のためのJupyterベースの開発プラットフォーム)
引用:https://docs.cloud.google.com/gemini-enterprise-agent-platform/overview?hl=ja
Google Cloud コンソールもコンポーネントに合わせた構成となっています。

そして今回特に注目したいのがエージェントです。Google Cloud Next ‘26でも大々的に発表されましたが、Gemini Enterprise Agent PlatformではAIエージェント構築における4つのフェーズ(Build・Scale・Govern・Optimize)に対して様々な機能を提供しています。
以下はフェーズと機能の一例です。
- Build(構築)
Agent StudioやADKでAIエージェントを構築。 - Scale(拡張)
構築したAIエージェントをAgent ランタイムで実行、エージェントの即時起動や大規模拡張を実現。 - Govern(統治)
Agent IdentityでAIエージェントのアクセス制御・監査、Agent Gatewayでエージェントのトラフィックや権限、アクセス制御を中央管理。 - Optimize(最適化)
Agent EvaluationでAIエージェントの実行品質を評価、Agent Observabilityでエージェントの挙動を可視化・追跡、ボトルネックを特定してプロンプトの修正につなげる。

引用:Japan Session and Reception サマリーセッション(P21)
https://services.google.com/fh/files/events/nxt26_jpn_prgm_smry_ssn.pdf
Gemini Enterprise Agent Platformもコンソール上の構成はこのようになっています。BuildのAgent Gardenでは事前構築済みのエージェントのサンプルも数多く公開されています。

Google Cloud に関するソリューション・事例はこちら
Agent Searchとは
今回のブログで主にご紹介するのが「Agent Search」です。今回のAIプラットフォームの再構成に伴い、「Vertex AI Search」から名称が改称されています。
引用:https://docs.cloud.google.com/generative-ai-app-builder/docs?hl=ja
https://cloud.google.com/use-cases/site-search?hl=ja
概要
一言でいうと Google Cloud のマネージドなプラットフォームを使用して検索アプリケーションの構築ができるサービスです。検索対象のデータ形式としては以下の3つがあります。
- 構造化データ(BigQuery・Cloud Storage バケットに格納されたJSONファイル
- 非構造化データ(TXT、PDF、HTML、DOCX、PPTX 等)
- 公開Webサイト
引用:https://docs.cloud.google.com/generative-ai-app-builder/docs/create-datastore-ingest?hl=ja
優れているところ
Agent Searchの優れているところは、やはり情報検索の第一人者であるGoogleが提供するマネージドなプラットフォームを利用できる点です。上述の通りデータソースとして様々なデータ形式に対応しており、それらをRAG(Retrieval Augmented Generation)として構成することでハルシネーションを抑止できます。検索は自然言語で可能であり、文字列一致ではなくセマンティック検索で検索した内容に意味的に近いものを返すといったことが可能です。
セマンティック検索の参考:https://cloud.google.com/discover/what-is-semantic-search?hl=ja
検索アプリは自社ウェブサイトにウィジェットとして追加することもでき、検索時の回答には結果の要約機能を有効(Geminiが要約)することも可能です。こういったGoogle 独自のコンポーネントを組み合わせた機能を提供しているのも、Agent Searchの強みと言えるでしょう。
費用
2026年現在のコストモデルは、「クエリサイズ」と「インデックスストレージサイズ」によって決まります。
- クエリサイズ
Search API が実行された回数 - インデックスストレージサイズ
データストアに登録されたデータのインデックスデータのサイズ
料金は従量課金ベースの「全般的な料金」と、サブスクリプションベースの「構成可能な料金」があります。以下は「全般的な料金」での料金表となります(2026年5月時点)
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エディション | |
| Search Standard | Search Enterprise | |
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基本クエリ料金 ※10,000クエリ/月までは無料 |
$1.50 / 1,000 クエリ | $4.00 / 1,000 クエリ |
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インデックスストレージデータ料金 ※10 GiB/月までは無料 |
$5.00 / 1 GiB / 月 | |
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含まれる機能 |
・非構造化検索 ・構造化検索の機能 |
・Standardの全機能 ・抜粋された回答 ・画像検索 ・ウェブサイト検索 ・コア生成回答 |
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Advanced Generative Answers (オプション) フォローアップの提案、複雑なクエリの処理など |
(基本クエリ料金に加え) $4.00 / 1,000 クエリ |
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サブスクリプションベースの課金形態である「構成可能な料金」も選択肢の一つですが、すぐに使い始めたい・どのくらいのリクエストが来るか現時点でわからないという場合は従量課金ベースで使用を開始してみて、構成可能な料金の方にメリットがあることが見込めれば移行するというのがベストだと考えられます。最新の料金プランや構成可能な料金については以下をご参照ください。
参考:https://cloud.google.com/generative-ai-app-builder/pricing?hl=ja
Agent Searchを試してみる
簡単にAgent Searchを試してみます。ここでは構造化データ(BigQuery)として公開データセット「theLook eCommerce」を使います。Google のLookerチームが開発した「TheLook」という架空のファッション系ECサイトのシミュレーションデータをもとに、こちらの要望に応じたファッションアイテムを返す検索アプリを作成します。

BigQueryデータセット・テーブルの作成
まずはBigQueryでデータセット「demo_dataset」を作ります。

続いてデータセットにテーブルを作ります、thelook_ecommerceのproductsテーブルを今回の検索アプリのデモ用に適した形に成形します。

「ai_products」テーブルが作成できました。

データストアの作成
次にAgent Search用のデータストアを作ります、AI Applicationsの画面からデータストアを選択して[データストアを作成]をクリックします。

作成時には以下の項目を設定してデータストアを作成します。
- ソース
どこをデータソースとするか選択します。今回は「BigQuery」を選択します。 - データ
データのインポートに関するオプションや、取り込み元となるテーブルを指定します。今回オプションはデフォルトのままで、テーブルは「ai_products」テーブルを指定します。 - スキーマ
テーブルのカラムに対するスキーマ情報を設定します。ひとつ前の項目でデフォルトのままだとスキーマは自動検出されますが、検出された内容を変更することも可能です。 - 構成
データストアのロケーションとデータストア名を設定します。今回はglobalで、「demo_datastore」とします。 - 価格
料金モデルを設定します。従量課金ベースの「全般的な料金」と、サブスクリプションベースの「構成可能な料金」から選択しますが今回は前者を選択します。
※「構成可能な料金」で作成されたデータストアは、同じく「構成可能な料金」を使用する検索アプリでのみの使用となるので注意
データストアの作成が完了すると一覧に表示されます。

demo_datastoreを選択し[作業内容]タブを選択すると、BigQueryデータセットに作成したテーブルの件数通りにエラーなくインポートが完了していることがわかります。

検索アプリの作成
では、検索アプリを作っていきます。Agent Platformの画面から[ビルド]-[検索]を選択してカスタム検索の作成をクリックします。
作成時には以下の項目を設定して検索アプリを作成します。
- 種類
ここでは一つ前で選択した「カスタム検索」が設定されます。 - 構成
Enterpriseエディションと生成レスポンス(生成AIによる要約やフォローアップ機能)の有効有無を選択します。
ここでは生成レスポンスのみを有効にします。利用料金に影響があるので必要に応じて有効にします。
またここで検索アプリ名やアプリのロケーションの情報を設定します。
今回は「fashion-concierge」で、globalとします。 - データ
事前に作成したデータストア(ここではdemo_datastore)を指定します。 - 価格
料金モデルを設定します。データストアと同様に従量課金ベースの「全般的な料金」と、サブスクリプションベースの「構成可能な料金」から選択しますが今回は前者を選択します。
検索アプリの作成が完了すると以下の概要画面が表示されます。

アプリをテストする
プレビュー画面から、まずは実行してみます。「週末のバーベキューに着ていける、30ドル以下のカジュアルなメンズシャツをいくつか教えて」と検索ウィンドウに入力すると検索文に一致した結果の一覧が応答されました。

構成画面にて設定を一部チューニングしてみます。検索のタイプとして「フォローアップ付きの検索」を設定し、回答のカスタマイズにコンシェルジュに求める要件を記載します。サマリー言語としてJapaneseを指定して[保存して公開]をクリックします。

先ほどと同じ文章で検索をすると、Geminiによる提案・追加質問の候補・検索文に一致したデータの候補が返ってきました。



また、統合画面では自身のウェブサイトにウィジェットを登録するためのJava Scriptコードを確認できます。検索アプリをJWTまたはOAuth による認証を必須もしくは公開とするかを選択可能であり、呼び出し元ドメイン名を許可制にすることもできます。ウィジェット登録以外では、API呼び出しでも検索アプリ使用することも可能です。

まとめ
今回は「Gemini Enterprise Agent Platform」の検索エージェントであるAgent Searchをご紹介しました。
デモではStandard ティアで構造化データ(BigQuery)を対象に検索アプリを作成しましたが、それ以外にも非構造化データやウェブサイトへの検索エージェントを作成することが可能です。他にも様々なチューニング要素が存在し、Enterprise ティアでしか使用できない機能もあるのでカスタマイズ性が高く、実は奥が深いのがAgent Searchです。

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