
こんにちは、atlax編集部 中の人です。
今回は、NRIでAIを活用したシステム基盤構築の自動化・標準化に最前線で取り組む小長谷 秋雄と照屋 惇一の二人にインタビューを実施しました。AIを駆使したインフラ設計の工夫や、今後の展望について伺いました!

Q1:これまでのキャリア、AIの技術との出会いについて教えてください。
小長谷:私は入社後、アプリケーション領域の標準化対応からキャリアをスタートさせました。その後大規模なECサイト構築に携わり、アーキテクチャ設計から運用までを担当しました。そこでは大量の商品検索機能の実装といった実践的な課題解決を経験しました。現在はシステム基盤の標準化を行っていますが、私自身アプリ開発の経験が長いため、アプリと基盤の双方を理解した「橋渡し役」としての標準化を目指しています。
AIとの出会いは、個人的な興味からプライベートで開発支援ツールとして使い始めたのがきっかけです。本格的に業務で使用するようになったのは現在の基盤標準化活動からで、非常に実践的に使える技術だと感じているので積極的に導入を進めています。
照屋: 私は2017年に入社し、最初に配属された部署では小売業のお客様向けのシステム運用を担当しました。この部署で約4年間経験を積んだ後、 Google Cloud を活用したシステム構築のプロジェクト推進に従事し、昨年から現在の部署へ異動しました。今はこれまでの経験を活かし、チーム全体に対してインフラ領域の標準化や、業務全体の生産性向上を推進する役割を担っています。
AIに本格的に触れ始めたのはここ1年ほどのことで、NRIが提供する「aslead agent」などのAIエージェントが社内で普及し、誰もが気軽に使える環境が整ったことが大きな転機となりました。

Q2:お二人が取り組んでいるAIを使用した基盤構築について教えてください。
小長谷:主に新規にシステムを構築する際の基盤構築を効率化し、品質を維持するための「基盤の標準化」を推進しています。基盤構築の設計から実際の構築作業、テストに至るほぼ全工程を、AIを使って自動化することを目指しています。 AIを活用する際に、基礎となるのはNRIが長年培ってきた基盤構築のノウハウや経験、知識です。これらを整理した上でAIを掛け合わせることで、高い生産性と品質を維持しながらAIによる自動化の実現に取り組んでいます。
照屋: AIの活用方針は大きく2軸あります。1つ目は、基盤の標準化を効率よく進めるための活用です。2つ目は、実際のプロジェクトで我々が作成した標準化モジュールを使う際に、より生産性を高めるための活用です。具体的には、AIを使うことで導入のハードルを下げたり、設計をよりスムーズに行えるようにしたりといった、「現場での使いやすさ」のための活用となります。
Q3:取り組むにあたって工夫されている点や、難しいと感じる点、またそれをどのように乗り越えているか教えてください。
小長谷:一番の難しさは、新しい技術が次々と登場し、状況が目まぐるしく変わるということです。そのため、一つのツールや手法に固執せず、いつでも「新しいものに替えることができる」ことを前提にプロセスや自動化の方向性を考えることを意識しています。特定のクラウドサービスやAIモデルに依存しすぎない、「可搬性」を考慮した構成を組むことが、非常に高度で難しいポイントだと感じています。
工夫している点としては、「ベースの知識(標準化資産)」の品質を高く保つことです。AIが生成する回答や成果物のクオリティは、基となるベースの知識やリソースが正しく整理された状態であるかどうかに大きく依存します。そのため、AI自体に頑張ってもらうというよりは、ベースとなる基盤標準化の知識を品質高く最新の状態で維持していくことを最優先しています。

Q4:取り組んでいる中で、やりがいを感じる瞬間や楽しいと思う瞬間について教えてください。
小長谷: 私は日々の細かい定型作業よりアプリ開発などの「モノづくり」に注力したい気質です。以前は体力でそうした作業もこなしていましたが、徐々に負担を感じるようになっていました。しかし、AIを使うことで、そうした定型作業やミスが起きやすい作業をAIに任せられる世界になってきました。その結果、人は本質的な機能構造や提供する価値を考えることにリソースを100%使えるようになりました。自分が「良い」と考えたものを形にするまでのスピードが劇的に上がり、モノづくりの原点に集中できている今の環境は、技術者として楽しいと感じる瞬間です。
照屋: 私も小長谷さんと同じくモノづくりが好きなのですが、最近特にやりがいを感じるのは「現場からの生の声」が届いた時です。 自分が手掛けた標準化の仕組みが実際に使われ、「ここが使いにくい」「もっとこうしてほしい」といった感想や要望が来ると、作ったものを真剣に使ってもらえていると実感します。現場のフィードバックを受けてどんどんブラッシュアップされていくサイクルが回り始めたとき、「自分が作っているものに意味がある」と嬉しく感じます。
Q5:現在取り組んでいることを活かして、実現したい夢や目標はありますか。
小長谷:開発工程には、創造的な設計もあれば、緻密で細かい定型作業もあります。現状はまだAIが作ったものを人間がチェックする必要がありますが、いずれは「人が行うよりもAIの方が確実でミスをしない」という世界が来ると考えています。
私が実現したいのは、煩雑でミスが起きやすい領域はすべてAIに任せ、人は「どうありたいか」という本質的な価値の創出に注力できる世界です。私自身も、そういった価値あるモノづくりを追求していくことが目標です。
照屋:インフラに携わる者として、最終的には人間が常に管理しなくても自律的に稼働し続けるインフラを目指しています。また、AIの進化によって、特定の製品やプラットフォームに依存しない柔軟なシステム構築が当たり前になるかもしれません。
そうなった時に、「それでもNRIと一緒に仕事をしたい」とお客様に思っていただけるよう、何を提供できるのかを考えなければなりません。AIと掛け合わさって初めて提供できる「NRIならではの付加価値」を見つけ出し、提供し続けることが私の目標です。

Q6:atlaxブログの読者やNRIのお客様にメッセージがあれば、最後にお願いします。
小長谷: AIの技術進化は非常に早く、今日力を注いで作ったソリューションが次の日には汎用サービスとして他社から提供され、いつの間にか相対的に価値を失うことがあり得る世界です。だからこそ、私たちは常に新しい技術に適応し続ける仕組みと、日々の変化に柔軟に追随し続けるマインドを持たなければなりません。今、学生だったり若手エンジニア、という方には、AIが何でも作ってくれる時代だからこそ、「AIが作ったものを正しく評価できるスキル」を持ってほしいと考えています。サービスとしてお客様に提供する以上、AIが作ったとしても、正しく動くか、メンテナンスしやすいかなどを保証する責任は人にあります。AIに全てを任せるのではなく、AIと対話をして自身のスキルも高めながらより良いものを共創していける形を目指してほしいと思っています。
照屋:今やインフラ領域であっても、「ビジネスの価値をどう高め、お客様に寄与するか」が問われています。インフラエンジニアにも、変化を前提としたアジャイルな思考と、柔軟に自分自身をアップデートしていくマインドが求められていると感じます。
基盤の標準化は、「モノを作るための土台を作る仕事」です。土台が揺らげば、その上のシステムはすべて崩れてしまいます。それほど責任が重く、重要だからこそ、やりがいも大きい仕事です。誰かの役に立ち、世の中を便利にするための土台を作るこの仕事は非常に楽しいですし、変化への柔軟性を大切にしながらこれからも取り組んでいきたいです。
編集部の感想
今回のインタビューを通じて最も印象に残ったのは、お二人がAIを単なる「効率化ツール」としてではなく、エンジニアが本来向き合うべき「モノづくり」の本質的な価値創造に注力するための手段として捉えている点でした。
「AIの回答は、ベース(標準化資産)の品質に依存する」という小長谷のインフラエンジニアとしての確固たるこだわりや、技術が陳腐化していくことを恐れず「それでもNRIと一緒に仕事をしたいと言ってもらえる価値」を模索し続ける照屋の姿勢は、エンジニアとしての力強さがありました。
変化を楽しみながらお客様への新たな価値提供に挑戦し続ける姿にNRIらしさを感じました。
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