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atlax Forum 2025 ビジネス変革のためのAI×セキュリティ 開催レポート!

atlax編集部

2025年12月3日(水)、NRI主催のオンラインフォーラム「atlax Forum 2025」を開催しました。
2021年に開始した本フォーラムは、「NRIが取り組む技術領域」に焦点を当て、さまざまな技術の最新動向やビジネスの示唆などを広く社会へ発信してきました。
第5回となる今年度は、AIの進化により登場したエージェンティックAIをメインテーマに掲げ、企業やビジネスの変革に向けた本格活用のポイントを読み解く特別講演と基調講演、R&Dなどの研究開発で取り組んだ今年度の成果を「AI活用・展開の取り組み」「AIの先進技術動向」「ビジネス継続のためのセキュリティ戦略」の3つのトラックに分けて講演を行いました。

今回のレポートでは、各セッションのトピックをお伝えします!

 

Opening Session

[登壇者] 株式会社野村総合研究所 常務執行役員
IT基盤サービス担当 大元 成和

今回のオープニングセッションでは、AIが業務効率化を超えて企業のビジネスモデルを根本から変革し得ること、そしてその力を最大限発揮するためにはセキュリティの強化が欠かせないことをお伝えしました。こうした環境において重要なのは、「AIを活かす力」と「信頼を確保する力」の両立であり、その実現策として、クラウド基盤に能動的なセキュリティ対策と継続的な診断・監視を実装する「NRIデジタルトラスト」についてご紹介しました。
このプラットフォームは、戦略的な未然防止から迅速な回復までをトータルで提供し、企業が安心してAIを活用できる環境を支える仕組みです。こうした考え方を踏まえ、「atlax Forum 2025」では、AIとセキュリティの両面から、最新技術と実践的事例を3つのトラックセッション・特別講演・基調講演を通じて解説すると伝えました。

 

特別講演

AIで動き出す、企業とビジネスの新たな変革

[登壇者] 株式会社ACES 代表取締役 田村 浩一郎 氏
燈株式会社 取締役COO 石川 斉彬 氏
株式会社Recursive 共同創業者 兼 代表取締役会長 山田 勝俊 氏
NRI 経営役 AI担当 生産革新センター長 稲葉 貴彦

本講演では、AIが、企業活動を本格的に変革させるフェーズに入ったという前提のもと、最新動向と実務でのポイントを多角的に議論しました。最初に、AI活用のボトルネックは技術ではなく、組織と人の変革(マインドセット、評価制度、チェンジマネジメント、データ整備)であるとの認識が共有されました。AIによる価値創出は「効率化→業務改革→経営インパクト」という段階で捉えられ、既に大規模ROI事例が現れていることが紹介されました。適用領域も広がり、技術進化は速いものの、多くの企業が全社的な変革につながるには5~10年の時間軸が必要であることと、先行している企業は優位性を築き始めていることが伝えられました。
また、社内に蓄積されているデータ・知識・オペレーションをAIと結びつける「AIのOS(基盤)」へ投資することと、新規事業は「AI前提」で設計する必要があることが推進の鍵であると紹介されました。講演の締めくくりでは、技術トレンドに振り回されず、中長期的な視点で投資先や差別化ポイントを見極めつつ、短期的効果を期待できる領域から着手することの重要性が示されました。

 

基調講演

AIの汎用技術への進化~やがて到来する"3つの波"とは

[登壇者] IT基盤技術戦略室 兼 未来創発センター チーフストラテジスト 長谷 佳明
       NRIセキュアテクノロジーズ 研究開発センター長佐藤 健

本講演では、NRIの先端技術・DX支援と米国でのAI研究、モダナイゼーション×AIの実務経験を背景に、「AIは次の汎用技術か」を問う内容をお届けしました。これまでの歴史のなかで出現した「汎用技術」とAIを比較し、AIが汎用技術たり得るかを推察しつつAI普及の裏側にあるリスクについても紹介しました。主なリスクとして、物体検知AIへの検知回避や誤分類、AIエージェント連携で生じるプロンプトインジェクションやゼロクリック型の脆弱性(Googleカレンダー経由のGemini誤作動、Microsoft Copilot、ChatGPTのShadowLeak等)を取り上げ、従来の入出力監視だけでは不十分な理由(正規権限の悪用、段階的攻撃、意思決定の不透明性)をお伝えしました。
今後、AIの進化により、社会に大きな影響を与えると考えられる「3つの波」の説明と、AIの安全性と信頼性の確保を強化するために、国内のAIセーフティ・インスティテュートによる評価基盤整備や標準化の動向を注視する必要性を示しました。

 

Track A

AI活用・展開の取り組み

AIは業務効率化から新たなビジネスモデルの創出まで、多様な可能性を秘めています。しかし、AIをどのようにビジネスに展開出来るか、具体的な一歩を踏み出せない企業も少なくありません。
本トラックでは、AI活用を実践へつなげるためのポイントを、最新トレンドや事例と合わせてご紹介しました。

A-1:インフラ設備保守計画へのAIエージェント活用と検証

[登壇者] AIソリューション推進部 シニアアソシエイト中川 瑛慎
AIソリューション推進部 シニアアソシエイト 大貫 峻平

インフラ設備の安定稼働を支える日々の保守業務は、点検、修繕、突発対応など多岐にわたり、私たちの安全・安心な生活を根底から支えていることを踏まえ、本セッションでは、将来を見据えた高品質かつ効率的な保守計画の重要性と、人手不足や熟練技術者の減少によるノウハウ継承の課題について解説しました。さらに、膨大で変動の大きい保守業務において、経験や判断を学び現場を最適に支援するAIエージェントを活用し、効率化と知識継承を両立するための検証結果とその具体的なアプローチを紹介しました。

 

A-2:業界・タスク特化型LLMの構築手法と実務適用事例

[登壇者] AIソリューション推進部 エキスパート研究員 岡田 智靖

本セッションでは、小規模ながらも高精度な業界・タスク特化型LLMを効率的に構築する手法と、その実務適用事例について解説しました。さらに、規制や専門知識を伴う金融業務を題材に、コンプライアンスチェックや文書校正タスクで汎用大規模モデルを上回った検証結果を紹介。加えて、特化型LLMを組み合わせたAIエージェントによる業務自動化の展望を示し、コスト効率と高性能を両立させる具体的アプローチについてお話ししました。

 

A-3:生成AIを利用したシステムの現行可視化とシステムモダナイゼーション、エンハンスへの活用

[登壇者] 生産革新ソリューション推進部 エキスパート アーキテクト 岩松 航輝
生産革新ソリューション推進部 エキスパート アーキテクト 飯島 千絵

本セッションでは、企業のITモダナイゼーションが進まない根本原因である「システムの可視化」の重要性と、生成AIを活用した革新的なアプローチについて解説。現行システムの業務全体像や依存関係を俯瞰するドキュメントを自動生成によって効率的に作り出す方法を紹介しました。さらに、ドキュメント生成や正確性検証、機能移行の網羅性確認、移行後コードのドキュメント化など、モダナイゼーションから保守・エンハンスまで幅広く活用できる4つの事例を提示しました。加えて、AIの解析精度を高めるための静的解析とのハイブリッド運用やプロンプトチューニングの工夫も共有し、生成した「システム解析データ」を継続的な資産として活用する展望を示しました。

 

Track B

AIの先進技術動向

多くの企業でAIの導入が加速する今、新たな技術を的確に捉え活用することは、ビジネスを推進する上で重要な鍵となります。
本トラックでは、シリコンバレーの先端技術動向、AIがロボットなど物理的な実体と融合するフィジカルAI、安全で信頼できるAIを実装し活用するレスポンシブルAIの3つの講演を通じて、AIの動向やNRIが獲得した知見をご紹介し、ビジネス戦略に活かせるヒントをお伝えしました。

 

B-1:シリコンバレー発 Agentic AIの潮流~自律するAIの技術的課題と展望~

[登壇者] NRI IT Solutions America, Inc. Pacific Branch. / Branch Manager 幸田 敏宏

本セッションでは、注目を集めている、自律的にタスクを遂行する「Agentic AI」の概要、最新動向、普及への課題、解決の方向性を解説しました。
Agentic AIは、LLMを中核に外部ツール接続・観測・計画・行動を組み込んだ自律度の高い自動化システムであることを紹介。営業分野では、相手企業の情報を自動収集・分析し、動的に提案メールを生成・送信するAI SDRが登場し、社内業務では、非定型データを理解し不足情報を特定、照会や質問メール送信まで自律的に行い、自動化率を向上させていると述べました。
普及には、相互運用プロトコルの選定や権限管理、監視・評価の体系化、部門間データ統合と共通KPI監視など「ワークフローOps」の整備が不可欠であり、営業・マーケティング・顧客対応を連携させた「RevOps」のように、システム面とビジネス面を同時に最適化する運用体制が求められると述べました。
最後に、AIは進化途上にあり、目的や利用環境を明確にし、環境変化に適応できる手順を設計しながら自動化範囲を広げることで価値を最大化できると締めくくりました。

 

B-2:フィジカルAIが創る未来~ロボット基盤モデルとデジタルツインがもたらす革新~

[登壇者] IT基盤技術戦略室 チーフリサーチャー 鷺森 崇

本セッションでは、Agent AIの中でも、物理世界で自律的に認識・判断・行動する能力を備えた「フィジカルAI」について解説しました。
フィジカルAIはカメラやセンサーによる「認識」、環境や意図を理解する「認知」、モーターなどによる「行動」を組み合わせたシステムで構成されます。特に認知技術では、環境や人の指示を理解し、未知の状況でも柔軟にタスクを遂行することができる「ロボット基盤モデル」の発展を紹介しました。国内外で、物流、製造、小売などの現場において実証事例が進んでいることも述べました。
また、ヒューマノイドロボットの普及シナリオや価格低下による市場拡大の見通し、日本における段階的な導入の予測について説明し、国内産業の競争力向上に向け、オープンな形でロボット基盤モデルを開発・共有していく取り組みが始まっていることを紹介しました。
最後に、技術のオープン化と標準化が進むことで、フィジカルAIが産業やサービスを変革し、新たな市場創出を加速していくとの展望を示しました。

 

B-3:レスポンシブルAI~進化に伴い懸念されるAIのリスクと対応策~

[登壇者] IT基盤技術戦略室 グループマネージャー 権藤 亜希子

本セッションでは、責任あるAIの実装として「レスポンシブルAI」を、信頼できるAIの構築と利活用を実現するための姿勢や行動と定義し、その必要性をお伝えしました。プライバシー・人権・セキュリティ・社会的影響といったリスクが顕著化し、AIインシデントが急増している現状や、現在および将来に予想される具体的なリスク事例を紹介しました。
さらに、国内外の法制度やガイドラインによるリスク分類と対応枠組みを解説し、日本のソフトロー重視の方針のもと、企業が自主的に取り組むべき方向性を述べました。
最後に、安全で信頼できるAIをAI自身で担保する「ガードレールAI」の構想や、人間の役割として「AIと共生する社会のデザイン」が重要であることを示しました。心理的影響や雇用への影響も含めた社会技術的な安全性評価を提案し、AIの活用とリスク対策をバランスさせる展望を述べました

 

Track C

ビジネス継続のためのセキュリティ戦略

サイバー攻撃や情報漏えいなどのリスクは年々増大しており、また、攻撃手法も日々高度化しています。
企業が対応すべき 情報セキュリティリスクは、自社システムにとどまらず、委託先や取引先など サプライチェーン全体に広がっており、セキュリティはビジネス継続の前提条件となっています。
本トラックでは、AI活用におけるセキュリティ対策のポイントや、近年注目を浴びている新しいセキュリティ技術について解説しました。

 

C-1:デジタルトラスト環境の実現に向けて~サイバーセキュリティ・リスクに対するレジリエンス強化の考え方~

[登壇者] セキュリティソリューション事業開発部 グループマネージャー 西村 祐貴

本セッションでは、最新のサイバー脅威の動向を踏まえ、自社のITインフラをどのように強化すべきか、そしてレジリエンス向上の方向性についてお伝えしました。
まず、最新の統計データを用いて、インターネット接続面で日常的に大量の脆弱性探索行為に晒されている実態を説明しました。
このような状況を踏まえ、企業は侵入防止だけでなく被害からの迅速な復旧までを含めたレジリエンス強化を進める必要があり、ITインフラの多層防御、脆弱性管理の継続的実施、インシデント発生時の復旧計画整備、そして組織全体でのセキュリティ意識の向上が重要であると述べました。
最後に、サイバー脅威は日々進化し続けるため、最新の攻撃動向を常に把握し、技術面と運用面の両方向から強化を図ることで、信頼性の高いデジタルトラスト環境を構築できるとの展望を示しました。

 

C-2:Security for AI - AI 利用におけるセキュリティガバナンスと実践的対策

[登壇者] IDソリューション事業部 シニアアソシエイト 劉 嘉い

本セッションでは、ChatGPTをはじめとする生成AIの急速な業務活用拡大とともに、技術が対話型AIから自律型AIエージェント、さらに複数AIが連携するマルチエージェントシステムへと進化している現状をお伝えしました。この進化は業務効率化や新たな価値創造の可能性を広げる一方で、これまでにない複雑なセキュリティリスクを生み出していることを説明しました。
対応策として、設計・診断・運用の各段階での多層防御アプローチを紹介しました。設計段階では脅威モデリングを用いたセキュリティ・バイ・デザインを採用し、AIが誤動作する可能性を前提に被害を最小化するアーキテクチャ構築を提案し、診断段階ではAI Red Teamによる脆弱性解析、運用段階ではAI Blue Teamによるリアルタイム防御と継続的学習による体制強化を説明しました。
さらに、開発初期にリスクを可視化するAI Yellow Teamの活用により後工程での手戻りを防ぎ、ライフサイクル全体をカバーする包括的なセキュリティ体制を構築できることを紹介しました。最後に、これら三つの仕組みを連携させることで、AIの進化による新たな脅威に継続的に対応し、信頼性の高いシステム運用を実現できると展望を述べました。

 

C-3:注目を集める新たな暗号技術、耐量子計算機暗号(PQC)の動向と取るべき対応について

[登壇者] NRIセキュアテクノロジーズ 決済セキュリティコンサルティング部 シニアセキュリティコンサルタント平山 裕貴

本セッションでは、耐量子計算機暗号(PQC)の動向と、企業が今取るべき対応を5W1Hで整理し、お伝えしました。量子コンピュータの実用化で公開鍵暗号が脅威に晒されるため、公開鍵はPQCへ移行し、共通鍵やハッシュは鍵長・ハッシュ長拡大で対処する必要があると強調しました。
移行は「重要度が高い」「量子脆弱性がある」「悪用可能性が高い」と優先度の高い対象から着手し、外部通信や証明書など公開鍵暗号の使用箇所を先行する方針を示しました。2026年度にかけて計画策定やPoCの動きが加速すると予測し、法規制・他社動向を把握しながら対応を進めることが望ましいとお伝えしました。

 

atlax Forum ダイジェスト動画

atlax Forumの様子をお伝えするダイジェスト動画です。

www.youtube.com

 

参加者の声まとめ

今回の「atlax Forum 2025」にご参加いただいたお客様より、以下のような感想をいただきました。

  • エージェンティックAIを中心に今後のポイントについて明確な主張のある内容でした。
  • AIエージェントについて実用事例などもあり、大変勉強になりました。
  • 架空の話ではなく具体的事例に基づく話だったので、今後のビジネスにAIを活用できるイメージを具体的に認識することができた。

 

開催概要

atlax Forum 2025 について

[イベントタイトル] atlax Forum 2025
[開催日時] 2025年12月3日(水) 13:00 - 16:15
[開催形式] オンライン配信
[参加費] 無料(事前登録制)
[主催] 株式会社野村総合研究所

https://atlax.nri.co.jp/forum/

NRIは、今後もイベントなどを通して、お客様のDX推進に役立つ技術情報を発信していくとともに、社会・業界・企業のDXの実現に取り組んでまいります。

 

お問い合わせ

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