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ローコード開発を加速する!Oracle Database 23ai新機能とOracle APEX連携活用事例

後藤 絋平 - Nomura Research  Institute, Ltd

はじめに

こんにちは。NRIの後藤です。
私が所属するチームでは、ローコードツールであるOracle APEXを用いたシステム開発を行っています。
2024年5月にOracle Database 23aiに新機能が追加されたという情報を耳にし、APEXとの親和性や活用可能性について調査することとなりました。

そこで本記事では、Oracle Database 23aiの新機能および、それらの機能をOracle APEXからどのように連携・活用できるかについてご紹介します。
ローコード開発に興味のある方、Oracle APEXユーザーの方や、Oracle Database 23aiの新機能活用を検討されている方にとって、参考となれば幸いです。

対象読者

ローコード、Oracle Databaseの新機能に興味がある人

 

Oracle APEXとは

Oracle APEX(以下、APEX)は、Oracle Databaseに搭載されているローコード開発ツールです。直感的なWebブラウザ操作により、非エンジニアでもスピーディに業務アプリを構築できるのが特長です。

APEX開発画面

また、APEXはOracle Databaseと密接に連携しているため、Oracle Databaseの豊富な機能を最大限に活用できる点も大きな特徴です。

 

Oracle23aiの調査結果概要・APEXとの親和性

今回、私たちのチームではOracle Database 23aiの主な新機能の中から、
- ベクトルデータベース
- グラフ検索
- JSON-Relational Duality Views(JRDV)
の3つについて調査を行いました。

それぞれの概要と、Oracle APEXとの親和性や活用可能性について、以下でご紹介します。

 

ベクトル検索

昨今、生成AIとの連携や高度な検索ニーズの高まりを受け、テキストや画像などの非構造データをベクトル化して素早く検索する「ベクトル検索」機能の重要性が増しています。

Oracle Database 23aiでは、ベクトル化・インデックス作成・類似検索までをSQLベースで一気通貫に実現できる新しい機能が追加されました。
これにより、外部のベクトルデータベースを別途用意することなく、Oracle Database単体でRAG(Retrieval-Augmented Generation)システムや、高度な検索サービスが構築できます。さらにAPEXとの連携も強化されており、RAGチャット画面などのインタラクティブな用途にも簡単に応用できます。

ベクトルの活用方法。ベクトルデータの作成・保存・検索がOracleデータベースで完結。

 

従来のRAGアーキテクチャとOracle23ai+APEXを組み合わせたアーキテクチャの比較。

 

グラフ検索

物流ネットワークの分析や金融取引のパターン検出など、「データ同士のつながり」や「関係性」が複雑な分野では、従来よりグラフデータベースの活用が進んでいます。

従来のOracle Databaseでは、本格的なグラフ検索を行うにはOracle Graph Serverを別途構築する必要があり、導入・運用コストが課題となっていました。
Oracle Database 23aiでは、Oracle Graph Serverが不要となり、Database単体でグラフ検索(グラフクエリや分析)がSQLベースで実行可能になりました。

金融分野では、循環取引(すくみ決済)などの不正検知において、グラフ検索による経路探索を活用できます。
例えば、以下のようなグラフパターン検索SQLを活用し、特定ノード間で循環する一連の取引パターンを抽出し、APEXで可視化することも可能です。 

グラフ検索機能で実現できるアプリ例

 

JRDV

近年、JSON形式でのデータ操作は柔軟性や可読性の高さから、さまざまな業務システムで求められるようになっています。Oracle Database 23aiで新たに追加されたJSON-Relational Duality Views(JRDV)により、リレーショナルテーブルとJSONデータのギャップを解消することが可能となりました。JRDVは、物理的には従来のリレーショナルテーブルとして管理しつつ、論理的(ビューとして)にはJSONドキュメントそのもののようにデータを読み書きできる仕組みです。

以下のメリットがあります。

  • JSON形式でデータの入出力が可能
    フロントエンドや外部システムとJSON形式で直接やりとりでき、それを内部では自動的にリレーショナルテーブルへマッピングして管理可能です。
  • ORDS(Oracle REST Data Services)との連携が容易
    JRDVは、既存のORDS(AutoREST)機能に対応しているため、ビューを定義するだけで自動的にREST APIからの読み書きが可能になります。これにより、API開発の工数を大幅に削減できます。

 

JRDVのSQL例

 

まとめ

今回ご紹介したベクトル検索・グラフ検索・JRDVは、いずれも従来は個別のツール導入や複雑な開発が必要だった領域を、Oracle Database 23ai単体&APEXローコード開発でカバーできる点が最大の特長です。

これらの新機能により、データ活用や業務アプリの高度化・柔軟化がさらに進み、開発効率と運用性の両面で大きな効果が期待できます。

 

さいごに

今回は、Oracle Database 23aiの注目すべき新機能と、その機能がOracle APEXとどのように連携・活用できるのかについてご紹介しました。
ベクトル検索やグラフ検索、JRDVといった機能が、APEXのローコード開発と組み合わせることで、より高度で柔軟な業務アプリケーション構築を実現します。

本記事が、Oracle APEXを活用したアプリケーション開発のヒントやアイデアの広がりにつながれば幸いです。

また、私たちのチームでは、Oracle APEXを活用したシステム開発の実績が多数あります。ローコード開発の導入についてのご質問、ご相談など、お気軽にお問い合わせください。

 

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